鈴鹿市に新工場を建設、8月から本格稼働を目指す-丸協食産・松尾社長
丸協食産(長崎・佐世保市)は74年の創業以来、「新鮮、安全、おいしい食肉及び畜産副産物(ホルモン)をお客様へお届けする」を理念に商品開発、製造に取り組んでいる。4月から関西、中部、北陸エリアの既存顧客への販売強化を目指して、三重県鈴鹿市の新工場で商品の製造を開始した。「いまは基礎固めを行っている」と話す松尾努社長に、設立の経緯と今後の展開を聞いた。
–鈴鹿工場設立の目的は
いままでは佐世保市の4つの工場で商品の製造を行っていたが、遠方のエリアへの納品時間がかかるなど、時間的な制約によって迅速な対応が難しくなっていた。また、関西エリアの顧客からの独自商品を作りたいといった要望にもなかなか応えることができず、このままでは既存の顧客との信頼関係が弱くなっていくのではないかと感じていた。既存の顧客との取引拡大を一番の目的とし、既存の顧客の満足度を高めるために新工場を設立した。
–鈴鹿市に新工場を設立した理由は
九州・四国エリア以外では、関西エリアの顧客が大半を占めていることから、大阪府や兵庫県、京都府などで工場の建設を検討していたが、条件に合う土地がなかった。土地の価格や大阪市内まで1時間40分前後、名古屋へも1時間で行けるアクセスの良さを重視して進出した。また、これまで中部地方から要望があっても物流面が課題となり商品供給がし難かったが、今後、中部エリアで新たな市場を開拓することも考えて鈴鹿市に工場を建設した。現在は佐世保工場と鈴鹿工場から、関西、中部、北陸エリアと静岡県に商品を展開しており、売上げは年間15億~16億円で推移している。関西、中部、北陸エリアと静岡県の売上げを、3年後には30億円にしたいと考えている。
–鈴鹿工場の現状は
いままでは佐世保の工場から商品を供給していたため、商品ロスやチャンスロスが発生していた。鈴鹿工場ができたことにより、既存顧客への納品時間の短縮、店頭での品質保持期間の延長、新鮮な商品の供給ができるようになった。
ただ、近隣に大手企業の工場が多く、近隣に住宅街がなく通勤渋滞が発生するなど通勤に不便な立地のため、従業員を集めるのに苦労している。6月から派遣スタッフを採用したことで状況は改善しており、現在は従業員のトレーニングを兼ねたテスト生産を行い、8月からの本格稼働を目指している。
1階に製造工場、2階に事務所や会議室、品質管理室を設置しており、敷地面積は1万1,000㎡、延べ床面積は4,115㎡。工場内の出荷ラインは、今後のライン増設を考え工場内に余裕や空きスペースがあり、仕込みなどが増産となったときは増設できるように敷地内にもスペースを確保している。
–現在の取組みと今後の展開は
現在は、従業員の教育と現場でのトレーニングに注力している。今年は鈴鹿工場にとって基礎固めの年と位置づけており、本社工場以上の商品を供給できるように教育やトレーニングを優先的に行ってから、顧客からの様々な要望に対して柔軟な対応を行っていきたいと考えている。
主な製造カテゴリーは、焼肉やホルモン、ローストビーフなどの惣菜、とんかつなどの衣付で、主力商品の「味付ホルモン」「味噌豚ハラミ」「焼肉用牛ホルモン」「もつ鍋用牛ホルモン」「コリコリ塩ホルモン」など合計で約20アイテムを生産している。
鈴鹿市からアクセスが良いことから北陸エリアの拡大も計画している。また、工場では安心で安全な商品を提供するため、製造過程・製品認証基準であるsQF(Safe Quality Food)の取得を目指している。