「可能性表示」「大括り表示」などイメージ提示-加工食品原料原産地表示検討会
農水省と消費者庁は23日、都内で「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(座長:森光慶次郎お茶の水大学大学院教授)の第7回会合を開き、前回までの議論を踏まえ全ての加工食品への原料原産地表示導入に向けた「実行可能な方策についての検討」を開始した。事務局から表示方法の例として、これまでの国別表示に加え、①切替え産地を列挙する「可能性表示」、②国産、外国産など「大括り表示」、③輸入中間加工品の「加工地表示」-が示された(資料欄参照)。事業者委員、生産者委員、消費者委員から様々な意見が出されたが、森光座長が「大事なのは、どう表示していくかであり、次回に具体化に向けた新たな資料を提示したい」と議論をまとめ、次回は、表示案を具体化する場合の考慮すべき点やルールなどを事務局が提示し機論することになった。次回は9月12日に開催する予定。
検討会では最初に表示方法のイメージとして、前述のように3つの表示方法を示した。「こいくちしょうゆ=原料は大豆」を例に、現行の義務表示ルールを当てはめ、原産地を国別かつ重量別で表示した場合、重量の順位が変わったり、複数ではなく1カ国しか使用しない場合もあるなど、その都度、表示を変えなければならず包材のコストは膨大になり、表示ミスの可能性も出てくる。それに対し、「可能性表示」では、大豆について産地の切替えがある場合、例えば、過去の取扱い実績などの根拠を付記し、使用する可能性のある産地を列挙して表示した場合、「大豆(アメリカ又はカナダ又はブラジル)」などの例を示した。
「大括り表示」では、複数の国で産地を切替える場合、外国の産地を一括して表示した場合は、「大豆(輸入)」、「大豆(輸入、国産)」など、「大括り表示+可能性表示」の場合は、「大豆(輸入又は国産)」との例を示した。
「中間加工品の加工地表示」では、清涼飲料水を例にドイツで加工したリンゴ果汁を使った場合、「リンゴ果汁(ドイツ加工)」、食パンでは日本で加工した小麦粉を使った場合、「小麦粉(国内加工)」との例が示された。
メリット・デメリットについては、「可能性表示」では、消費者の立場としてのメリットは①使用される可能性のある国が分かる、②国産又は特定の国のものを買いたいという要望にある程度沿う-、デメリットは、使用していない国も表示されるため誤認などにつながる恐れがある-。製造流通業者の立場としてのメリットは、重量割合や原産地が頻繁に変更される場合も対応できる、デメリットは、表示スペースの確保が困難-が示された。
「大括り表示」では、消費者のメリットは、①国産か輸入の原料使用の情報が得られる、②国産のものを買いたいとの要望に沿う-、デメリットは、特定の国を知りたいニーズに応えていない-など。製造流通事業者の立場では、メリットは、①外国産の原料で重量割合や原産地が頻繁に変更される場合も対応可能、②表示スペースがそれほど必要ない-、デメリットは、①原産地の詳細について問い合わせが増える可能性、②「国産・外国産」「外国産・国産」であっても頻繁な配合変更により表示変更はあり得る-などが示された。
「中間加工品の加工地表示」では、消費者の立場のメリットは、どこで加工された原料(中間加工品)であるかという情報が得られる、デメリットは、中間加工品に使用されている原料の原産地は不明。製造流通業者の立場としてのメリットは、中間加工品に使用されている原料の原産地の特定が困難な場合も対応可能、デメリットは特にない。