【今年度末の肉牛出荷見通し】黒毛和種は微減、交雑は1割程度増、乳雄は3%減の見込み
ここ数年、和牛中心に肉牛出荷頭数の減少が懸念されているが、直近の飼養頭数の動向を見る限り、今後、来月から年度末にかけての出荷も黒毛和種は前年同期に比べて微減、乳雄は3%程度下回りそうだ。逆にことし8月から昨対増に転じている交雑種については、年度末にかけて1割程度上回る出荷となる可能性が高まっている。
家畜改良センターが20日に公表した9月末時点の個体識別情報の全国畜種別・月齢別飼養頭数をもとに、向こう11月から18年3月までの出荷を予測した。過去数年間の平均と畜月齢から、黒毛和種の出荷月齢を29カ月齢、交雑種を26カ月齢、乳雄を19カ月齢と仮定したが、年末年始の早出しや繰延べ、繁殖用の仕向けなどは考慮していない。
それによると、黒毛和種で同期間中に出荷適齢期と迎える23~27カ月齢の仕上げ期の飼養頭数は18.4万頭に上り、前年比0.6%減となっている。東日本大震災、安愚楽牧場の経営破たんなどがその後の飼養頭数に色濃く出ていた14年(前年同期比9.7%減)や15年(同2.8%減)に比べると減少幅は大分縮小しているものの、3年連続で昨対を割っている状況だ。とりわけ25~27カ月齢は11.3万頭と前年同期より1.7%少ない。当然、年末の最需要期に向けて出荷の繰延べ・早出しも予想されるが、このことが年末時期の出荷にどう影響するか気になるところ。
酪農経営での乳用種への黒毛和種の交配率の上昇の影響で乳雄の出荷も減少傾向が続くとみられる。これから年末および年度末にかけて出荷対象となる13~17カ月齢は7.9万頭・3.1%減で、過去6年間ではもっとも少ない水準となっている。酪農経営の戸数減少や交雑種の交配率の増加に加えて、北海道を中心に雌雄判別精液を利用した人工授精が増えていることから、乳雄の出荷が増加に向かうのは相当の時間がかかるとみられる。とくに9~12カ月齢の頭数も6.5万頭・4.9%減少しており、来年度以降も乳雄の供給減が続きそうだ。