ヨーグルト細分化進む、健康価値を3段階で品揃え

消費キーワードの一つ「健康」が、16年下期に「手軽な健康」にややゆるむ見方が流通で広がる中、ヨーグルト市場でも、健康価値を3段階に分けて品揃えする動きが出ている。「明治R‐1」など機能性ヨーグルトの「尖った健康価値」、鉄分入りやカルシウム強化の飲むヨーグルトの「ゆるい(手軽な)健康価値」、プレーンヨーグルトの「広い意味での健康価値」。ヨーグルト市場の4~9月は販売金額で前年比7~8%増の見込みで、このままの勢い持続で今年度の年間販売額は4000億円強の予想、注目市場だけに、価値を3段階に区分けし、細分化されたニーズを取り込む戦略が各業界から関心を集めそうだ。

下期注目の「手軽な健康」の位置付けのヨーグルトは、カルシウムの配合を強化したものや、鉄分入りの飲むヨーグルト。不足している栄養素を日々手軽に取りたいニーズが高いこと、ストイックな健康志向から、毎日続ける手軽な健康志向へのシフトが一定層の間であることが、流通の「手軽な健康」注力から想定され、飲むカテゴリー理由は雪印メグミルク「プルーンFe1日分の鉄分のむヨーグルト」が長年販売好調なことが背景にあると思われる。

キーワードは「日常使い」であり、これを見込み、明治はブルガリアブランドの「のむヨーグルトプルーンミックスLB81×鉄分」3本パックを9月26日投入する。1日1本で1日の不足分の鉄分、が訴求ポイントで、連物による継続性で雪印商品とは別のターゲットをも取り込む戦略だ。

またゆるい健康価値の細分化したものとして「美容」があり、これは森永乳業が得意の「アロエ」シリーズ、明治が「アミノコラーゲン」で展開、ヨーグルトの美容ゾーンは各社チャレンジするもいまだ空白スペースであり、ゆるい健康価値訴求の中で育成できるか注目。

尖った健康価値の商品は、明治が「R‐1」「LG21」「PA‐3」(3品計の販売額は15年度1067億円)でけん引、雪印も「ガセリ菌sP株」で存在感を高めており、今のヨーグルト市場の一番の有望株となっている。極端にいえば「医」の領域に近い分野となっており、ヨーグルトの健康イメージを今後も引っ張っていく存在。

広い意味での健康価値の商品は、トクホ取得の各社プレーンヨーグルト。近年は配合している乳酸菌の価値訴求に軸足が移り、機能性ヨーグルト寄りになっているが、整腸作用、料理にも使える汎用性が消費者に浸透しており、食品で健康感を求める層を幅広く今後も取り込むヨーグルト市場の基幹商品となる。

健康価値を3段階に分けることで、商品の細分化を実現しており、細分化した先のまた枝葉の部分で新しい商品(秋は森永のビヒダスとろっとかけるプレーンが注目)、需要の掘り起こしにも挑戦、各食品業界で参考になる点も多い。そもそもヨーグルト自体が、食品の中でも「手軽な健康」のポジションを確立しており、そこから更に深掘りした健康価値の細分化の効果に今後注目だ。