秋の調味料新商品 新分野で広がる減塩
減塩や塩分控えめの醤油、味噌、ソース、つゆなどが当たり前になっているが、この秋の調味料の新商品では、カレー、すし酢など新たな分野にまで塩分控えめが広がっている。国民の健康意識は着実に高まっており、高血圧予防や肥満対策などで低塩分の食事摂取意向に対応するものだ。また、厚労省の「日本人の食事摂取基準」が4月から改定されたこと、国立循環器病研究センター(国循)の「かるしお認定制度が開始されたことも影響している。(4面以降に調味料特集)
塩分の摂り過ぎは高血圧につながり、動脈硬化から心筋梗塞・脳卒中などの危険性が増す。また胃がんのリスクが高まるともいわれる。塩味の濃い食事はどうしても砂糖、みりん、食油なども多くなり、食欲増進から肥満につながりやすい。健康意識の高まりとともに、減塩メニューを訴求する人は増加している。またすでに発病した人は減塩メニューが必要になる。
そのため、以前から加工食品メーカーは醤油、味噌などの減塩商品を製造してきた。さらに最近では、食塩、つゆ類、ぽん酢、ソース、ケチャップ、即席スープなどにも広がっている。また、うま味や食酢などを上手に利用した減塩メニューを提案するメーカーも少なくない。
消費者の健康志向の高まりが大きな要因ではあるが、この春の厚労省と国循の取組みも一つのきっかけになって、新分野の減塩商品発売に影響したのではないか。
厚労省は4月から「日本人の食事摂取基準(2015版)」(5年に1回改定)を運用した。今回、ナトリウム(食塩相当量)について、高血圧予防の観点から、男女とも値を低めに変更した(表1)。
また、国循は3月から「かるしおプロジェクト認定マーク」制度を開始した。「少ない塩分だからこそ、美味しい」というかるしおレシピの新しい発想に基づいた商品を認定するもの。すでにエースコックのカップ麺やヒガシマル醤油の「八方だし」などが認定されている。
ここで減塩、塩分控えめの主な商品を見ていこう。醤油は各社から減塩醤油が発売されており、需要減少の中でも伸びている少ないカテゴリー。味噌も各社から発売されている。即席味噌汁も多い。減塩の塩はナトリウムをカリウムなどに置換したもので、つゆ類などの塩分控えめの基にもなる。味の素の「やさしお」など各社から発売されている。
この他、ソース、ケチャップ、つゆ・だし類、コンソメ、マヨネーズ・ドレッシング類など各社が工夫を凝らした製品が多い。
この秋の新商品を見ると、国循かるしお認定では前述のヒガシマル醤油の「八方だし」と「万能だし酢」の2品が注目される。だしとの組み合わせで塩分30~60%カットの料理が可能という。またタマノイ酢は既存品の塩分25%カットの「減塩すし酢昆布だし入」を発売。ハウス食品は調理型カレーで業界初となるルウカレー「ヘルシーオカレー」2品を発売。塩分、カロリーともに30%減のWオフ。国循のかるしお基準をクリアしている。丸美屋食品は「鶏五目釜めしの素」の塩分カット率を25%にアップしてリニューアルした。
新食事摂取基準や「かるしお」認定の認知向上に合わせて、今後も減塩、塩分控えめの調味料が広がっていくだろう。