15年の食料消費動向、支出額4年連続の増加、食料比率は27.2%に上昇
本紙は総務省がこのほど発表した15年12月の家計消費支出をもとに15年の全世帯(全国2人以上の世帯)の食料消費動向をまとめた。食料支出額は93万7712円で前年比2・7%増と4年連続の増加となった。消費支出は可処分所得の伸び悩みと節約志向を背景に4万5840円(1・3%)減少して344万8482円となったことから、食料比率は27・2%に上昇した。
昨年の消費支出額は、一部の好況感とはうらはらに344万8482円で震災年の11年以来4年ぶりのマイナスとなった。減少額も4万5840円(1・3%)と大きい。前年比では1~3月が消費増税分を含むため、3カ月分の按分が0・7ポイントあり実質は2%近いマイナス。また14年はプラスではあったものの0・3%増とわずかで消費増税分を織り込めばマイナス。輸出産業が好調といっても、足元の国内消費は実質2年連続のマイナスで、しかもその幅が大きくなった。
支出額は90年代前半が400万円台、00年代前半が380万円台、00年代後半でも350万円だったが、10年代に入り340万円台に低下した。この間の国内経済の停滞とデフレ、さらに実質所得の減少をくっきりと示している。15年の食料支出額は93万7712円で2・7%の増加。11年を底に4年連続の増加となった。消費支出に対する食料支出の比率は1・1ポイント上昇の27・2%となった。
食料比率は90年台初めは27%を超えていたがその後徐々に低下、00年台は05年の25・0%を底にずっと25%台だったが、昨年、15年ぶりの26%台となった。さらに15年は野菜高や円安による加工食品の値上げがあったにせよ食料比率だけから見ると、90年台初頭のレベルとなった。簡便調理食品やプレミアム食品など加工度の高い食品が普及しており、食生活水準を90年代と比べるべくもないが、その一方で所得の減少・伸び悩みとなっている家庭では、必需品の食料支出を確保、他を切り詰めている姿が浮き上がってくる。
世帯人数は3・02人で14年比0・01人減少したため、1人当たりの食料支出は3・3%増。
分野別の支出額の推移を表1に示した。肉類の伸びが目立つが、主力の生鮮肉は金額は4・7%増ながら数量は0・9%増。明らかに相場高が要因。生鮮魚介は数量で2・0%減。魚離れに歯止めがかかったとは言い切れない。生鮮野菜は金額で5・8%増ながら数量は1・4%減。春と秋の野菜高が影響した。穀類では米が価格軟化で数量は4・9%減ながら金額は8・5%減。ちなみに米の支出金額2万2981円に対しパンは3万0508円と32%も上回る。