第44回「学流協の推奨品」新規選定へ、学校関係者16名が審査/学校給食物資開発流通研究協会
学校給食物資開発流通研究協会(学流協、古川裕志会長)は9月6日、令和4年度「第44回『学流協の推奨品』」の新規選定に向け、学校関係者審査会を森永プラザビル(東京・港区)で開催した。関東ブロックの学校関係者16名、流通会員8名が、エントリーした加工品14品を試食し、審査した。
はじめに古川会長が学流協の主な公益活動を説明し、「昭和54年に始まった学校給食用優良食品の開発事業だが、学校給食環境、喫食形態の多様化に配慮し、『おいしく安全、楽しく食育』にふさわしい、優良食品の開発に取組んでいる。日頃より学校給食の現場でご活躍頂いている先生方に審査頂き、今後の開発に活かしていただきたい」と挨拶した。
その後、学校関係者と流通会員は、生産会員による製品説明を聞きながら、社名を伏せた14品(調理用冷凍食品7品、佃煮2品、農産加工品1品、混ぜごはんの素1品、冷凍デザート3品)を試食し、味、食感、色合い、汎用性、配膳作業性などを5段階で評価した。
〈アレルギー対応や栄養強化、給食に寄り添った対応が評価〉
審査後、開発委員長の石井克枝千葉大学名誉教授をコーディネーターに、学校関係者と意見交換が行われた。
横浜市のPTAからは「コロナで学校給食の試食会もなくなり、子どもが学校でどんなものを食べているか知る機会がなかった。今日は生産者の方がこんなに苦労して、試行錯誤して作っていることを知り、とても勉強になった。これからも子どもたちのためによろしくお願いします」という声や、審査会に参加したのは5度目という栄養教諭から「最初の頃はフライなどが多かったが、今はアレルギー対応したものや、塩分調整、栄養強化、パッケージの開けやすさや包材の量まで考えられた商品があって感心した。我々に寄り添ってくれていると感じた」との声もあった。
全体的に自校式(自分の学校で給食を作る)の栄養教諭、学校栄養士が多かったため、「手作りが基本のため、加工品はあまり使わない」という前置きが多かった中、高評価だったのが『バジルソースベース』だ。「香りがいい。メニューのバリエーションが広がりそう」、「学校菜園でバジルを育てている。食育の授業にもぴったりだ」という意見があった。また『おさかなソー(魚肉ソーセージをケーシングなしで冷凍)』は「宗教の関係で肉が食べられない児童がいる。これは重宝しそうだ」、『パスタミニシリーズ(加熱済みのショートパスタの冷凍)』は「ショートパスタは茹で時間が15分ほどかかる。冷凍なら30秒ですぐに使えるのは目からうろこの発想」などの意見が聞かれた。
今後の審査日程は9月14日に開発委員会(味の素冷凍食品)を行い、3回の審査結果を集計し、9月28日の選定委員会(ニチレイフーズ)で新規推奨品を決定する。
〈文科省中村課長補佐「食材費高騰、地方創生臨時交付金活用を」〉
審査会の前に、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課の中村英孝課長補佐が「学校給食の現状と課題」と題し、講演を行った。内容は〈1〉食育推進基本計画、〈2〉学校給食の充実及び現状、〈3〉栄養教諭をめぐる現状と栄養教諭の資質能力向上に向けて、〈4〉学校給食の公会計化、の4点。〈2〉について、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時給付金のさらなる活用を促し、「給食費を値上げしていないところは、卸に負担を強いないように願いたい」と訴えた。
〈冷食日報2022年9月8日付〉