冷凍自販機「ど冷えもん」累計販売4000台突破、飲食店から生産者まで幅広く活用、広告としての利用も
サンデン・リテールシステムが展開する冷凍自販機「ど冷(ひ)えもん」の累計販売台数が、2022年7月末時点で4,000台を突破した。
当初は個人経営の飲食店での活用が目立ったが、最近は大手企業での導入拡大や、セレクトショップ代わりとしての利用など、活用の幅が広がっている。サンデン・リテールシステムの広報担当者は「利用のされ方は変化し続けており、まだまだ広がるのでは」と期待を寄せる。
「ど冷えもん」は2021年2月に都内の餃子販売店に設置された、国内で最初の冷凍自販機だ。さまざまな容器の形状に対応できるため、幅広い商品を販売できる点も特徴となっている。個人経営の飲食店で急速に広まり、卸や生産者などでの導入も進んだ。
その後、リンガーハットや「六厘舎」を運営する松富士食品(東京都千代田区)、「松壱家」や「ゴル麺。」を展開するウルトラフーズ(横浜市中区)などの飲食チェーンに加え、ケンミン食品などの食品メーカーでも採用が進んだ。扱っている商品も、最初は1,000円ほどの商品が多く見られたが、今ではイクラや和牛、キャビアなどの高級食材を扱っているところもある。
冷凍自販機を使い、セレクトショップのような展開を行うところも出てきた。業務用の麺の製造や販売を手掛ける丸山製麺(東京都大田区)は、2021年3月から全国のラーメン店の商品を購入できる取り組みとして、2021年3月から「ヌードルツアーズ」という取り組みを進めている。各ラーメン店が作ったスープを冷凍し、丸山製麺が製造した冷凍生麺を使用している。2022年6月末までに提携ラーメン店は21店、設置数は125カ所、販売食数は25万食に達した。2022年中に200カ所への設置を目指している。
飲食事業を手掛けるSOBO(東京都新宿区)は、JR大森駅西口前に冷凍自動販売機を6台設置した「FROZEN24マート」を今年7月にオープンした。ご当地餃子やご当地ラーメン、仙台牛タン、パスタ・ピザなどバリエーションに富んだメニューで訴求する。
さらに、異業種が冷凍自販機を活用して新たに販売を始めたところもある。空調工事などを手掛けるDプラン(東京都豊島区)は、東京都品川区内に自販機のセレクトショップ「PiPPon!(ピッポン)」をオープンした。冷凍と冷蔵の商品を販売しており、餃子や韓国料理、和牛、アイスクリームなど幅広い商品をそろえる。空きスペースを有効活用し、人件費をかけずに売上を確保できるよう取り組んでいる。
最近では駅構内に冷凍自販機を設置するところもある。小籠包で有名な「京鼎樓(ジンディンロウ)」を運営するJIN DIN ROU(東京都品川区)は、同店の小籠包や点心を扱う冷凍自動販売機を、東京メトロ日比谷線の「恵比寿駅」や、南北線の「麻布十番駅」と「六本木一丁目駅」、丸ノ内線の「銀座駅」と「東京駅」に設置した。地方のある企業では、駅構内に自販機を置いて自社広告も兼ねた展開を行っている。
コロナ禍に撤退した飲食店などの跡地や、シャッター通りになりつつある商店街でも冷凍自販機は活用されている。さまざまな料理をそろえた自販機を空きスペースに置いて、新たな売り上げ確保を狙うようだ。
サンデン・リテールシステムの広報担当者は「家庭で食事をする機会が増え、自販機への注目はより増していると思う。今後もさまざまな展開を行いたい」と語った。
〈冷食日報2022年9月12日付〉