〈令和4年10月の需給展望 豚肉〉9月平均価格は下がらず、連休需要弱いが後半は上昇、10月は出荷頭数増加見込みで下げも、末端需要増加を注視
9月の豚肉需給は、シルバーウイークが2週続けての3連休となり当初は行楽需要等が期待された。しかし、コロナ感染者が高水準で推移したことや、天候に恵まれなかったことにより連休需要は限定的となった。当初は、出荷頭数の増加に合わせて枝相場下落、パーツ相場の下落が見込まれたが、輸入品チルドの高騰などもあり需給がバランスしたことでもちあい推移となった。
9月の東京市場の豚枝肉相場は上物税抜600円(税込649円)でスタートし、2日には587円(634円)となり、以降12日までは600円を下回って推移した。時期を追うごとに出荷頭数が増加し、例年通り相場はジリ下げ展開が予測された。しかし、13日611円(660円)と反転し、以降は600円を超える展開が続いた。3連休の間となった20~22日の追加発注は盛り上がりに欠けたものの、月末には10月初旬の手当から相場を引き上げ、30日には618円(668円)となった。
結果、月間平均相場としては596円(644円)と、600円に届かなかった。前月比では3円安に留まった。例年であれば秋口から出荷頭数増加に伴い、下げ展開となるが、ことしの9月はほぼもちあい推移となった。今後の推移については、コロナからの回復、旅行促進施策などポストコロナにおける経済が刺激されている半面、世界的な食品、エネルギーコストの上昇、為替円安により物価高騰が続き、消費減退が懸念されるところだ。輸入品チルドの動向にも左右されるが、出荷頭数増加と末端需要のバランスが注目される。
〈供給動向〉
農水省が9月14日に発表した肉豚出荷予測によると、10月の全国出荷頭数は前年同月比2%増の145.2万頭と140万頭超えを予測している。今月は「体育の日」を含む3連休を控える。1日当たりの出荷頭数は20日稼働の場合は7.3万頭前後で推移するとみられる。前年を超える水準、1日当たり7万頭を超えるボリュームとなることで、枝相場は下げ展開となる可能性も。ただし以降の出荷頭数は11月が3%減の146.1万頭、12月は2%減の147.7万頭と140万頭は超えるものの、昨対割れと見込まれる。
農畜産業振興機構の需給予測によると、10月のチルド輸入は前年同月比5.8%減の3万1,600tと予測している。北米国内における現地相場高、為替相場の影響が続き、前年実績を下回る見込みだ。一方でフローズンはこれまでスペイン産の輸入量が多く、前年実績を上回って推移してきた。今後は為替相場変動の影響があるものの、北米からの輸入量増加が見込まれ、10月は4.6%増の4万6,400tを見込む。チルド・フローズン合計で7.8万tと引続き8万t前後の輸入量を維持する。
〈需要見通し〉
10月は昨年を上回る出荷頭数により枝相場を下げる材料はあるが、3連休を控え初旬はそれなりの手当が期待される。
中旬以降は全国旅行支援による外食活性化が期待される。そのため生産量とのバランスのよっては、枝相場は大きくは下がらない可能性もある。輸入品は引続きコスト高などによりチルドは必要最小限に絞った調達が続く。一方でフローズンは欧州産を中心にそれなりの輸入が続く見込みで、輸入品全体では例年並みを維持する。量販店でもフローズン解凍品を品揃えする動きが継続しそうだ。
〈価格見通し〉
3日の枝肉相場は、東京市場が上物税抜き626円(税込677円、前市比9円高)で、関東3市場で640円(691円、26円高)でスタートした。農水省の予測からも、出荷頭数は140万頭台まで回復する見通しだ。
例年であれば下げ展開の時期で、月初めの手当以降は下げとみられ、10月の月間平均相場は上物税抜きで570~600円(税込610~650円)と予測する。
〈畜産日報2022年10月5日付〉