植物肉“ビヨンドミート”、カスミ・マルエツ・マックスバリュ関東で販売開始、「ビヨンドビーフ」とベーカリー・デリカ商品/USMH
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は、独占販売契約を締結した米国の植物肉メーカー、ビヨンドミート社の商品を11月中旬から販売開始する。
USMHがコンテナ船で輸入する「ビヨンドビーフ(冷凍)」と、それを用いたベーカリー5品、弁当などのデリカ商品4品をカスミ、マルエツ、マックスバリュ関東など10店舗で先行販売する。ゆくゆくは販売店舗を拡大していき、外食チェーンなどへの外販も視野に入れ、提案を進めているという。10月15日に茨城県つくば市の「ブランデ研究学園店」で、ベーカリーの1品「スプリングバーガー」の試食会を開催し、ビヨンドミートの概要説明が行われた。
今回販売を開始するビヨンドミート社の商品は、USMHのサステナブル志向のPBブランド「GreenGrowers(グリーングロワーズ)」の第2弾商品となる。USMHは2022年3月、新しい価値の創造を目的としたオープンイノベーションプラットフォームの取り組み「AKIBA-Runway(アキバランウェイ)」をスタートし、さまざまな技術を持つ他企業との連携を模索してきた。その取り組みの中でビヨンドミート社と相互理解が進み、日本国内での独占販売契約を締結するに至ったという。
ビヨンドミートは2009年に創業し、牛肉、豚肉、鶏肉3タイプの植物性由来の代替肉を欧州、アジア、オセアニアで販売している代替肉のパイオニアで、高いブランド力がある。
「ビヨンドビーフ」はエンドウ豆由来で、卵白などを含めた動物性原料は使われていないという。販売価格について、カスミ執行役員ブランド戦略室マネジャー兼商品編成プロジェクト担当のジュン・マーディアン・スガンディ氏は、「米国と同程度の価格での販売を目指している。エンドウ豆由来のため、日本で普及している大豆ミートよりも価格は高く設定する必要がある」とするが、肉らしい商品であることを強調し、そういった付加価値を感じてもらえる提供方法を考えているとした。なお、米国では1ポンド(453g)$9.9ほどで販売されているという。今後は日本市場向けにハーフサイズの販売も予定しているという。
販路が広がれば流通量も増えていくとし、ビヨンドミート社と協議して、ラインアップについても増やしていく考えだ。11月中旬には、ビヨンドミートのロゴをデコレーションしたキッチンカーを関東エリアに走らせ、ベーカリー商品を販売することを予定する。
試食が行われた「スプリングバーガー」は、石窯で焼いた食べ応えのあるパンを使い、マヨネーズ、レモン汁、塩にニンニクのパンチを利かせた食べ応えのあるソースが特徴だ。キャラメリゼしたオニオンを入れているため、少し甘みも感じられるという。パティの上には、植物性のチーズを溶かした状態ではさんでおり、「植物性でありながらも、食べ応えのあるバーガーになっている」という。
〈「グリーングロワーズ」ブランドで展開、代替魚・卵・チーズの販売も〉
ビヨンドミートの販売経緯についてスガンディ氏は、「2020年秋頃にさまざまな代替肉メーカーと接触を開始した。私自身が米国で育ったので、ビヨンドミート社とのつながりもあり、『グリーングロワーズ』の環境にやさしい取り組みが評価され、環境に貢献したいという熱意も伝わった。通関の手続きに時間がかかり、今年11月から販売可能になった」と振り返る。USMHが商社を通さず直接契約し、輸入する取り組みは今回が初めてとなる。
「グリーングロワーズ」ブランドで展開することについて同社は、「植物性たん白食品を食べることが心と体の健康に寄与し、環境にも貢献できるという考えを広く認知できればということで、ビヨンドミートのブランド力で商品をただ販売するだけでなく、植物性由来のたん白質を広く取り扱っていきたい」としている。スガンディ氏は「世界中の代替肉、代替魚、代替卵、代替チーズのメーカーとも話を進めており、来期にも販売開始を目指す」と見通しを語った。
〈大豆油糧日報2022年10月19日付〉