伊藤ハム米久HD、総合力活かし「選択肢ある業務用提案」実施、業務用を市販する「冷凍小売販売商材」充実も
伊藤ハム米久ホールディングス(HD)は10月19日、業務用新商品発表会を東京・目黒の本社目黒事務所で開催した。
伊藤ハムが新商品18品・リニューアル品22品、米久が新商品6品・リニューアル品9品を発表した。外部環境がめまぐるしく変化する中、両者の総合力で、あらゆる状況に対応できる「選択肢ある提案」を提供するという。伊藤ハム米久HD 全体の今期方針について、加工食品事業本部事業戦略統括部マーケティング部の青木純一部長が説明した。
足元でのさまざまな社会課題・生活者の変化に対応するとともに、「川上インフレ」を踏まえ、ブランド価値の強化・創造が求められるとする。
そうした中、業務用商品の得意先の方向性・課題として、
▽フードロスの削減
▽オペレーション効率化(時短・生産性改善)
▽摂る/減らす健康(たんぱく質摂取・植物肉・野菜)
▽ベーシック商品(品位・価格帯別のフルラインアップ)
▽こだわり素材・監修・製法(メニュー単価・価値の向上)
――の5つを挙げる。それに対し、同社として市場・生活者の意識の変化を捉え、得意先に方向性・課題解決に繋がる提案を実施。その中で、伊藤ハムと米久という得意分野の異なる2社によるグループ総合力を活かし、あらゆる「選択肢ある提案」を提供。それにより、外部環境のさまざまな変化に対応できるようにするとした。
具体的な方向性の例としては、SDGsの取組みおよびコスト削減にも資する「食品ロス」の削減および、「冷凍小売販売商品の強化」を挙げる。冷凍小売販売商品は、業務用商品を家庭用向けにも販売する商品で、同社調査にも基づき、自分で作ると手間がかかる・外食品質・ストック用といったニーズに向けて充実させるとした。
〈米田雅行常務「加工食品事業の中で業務用の重要性高くなる」〉
発表会開催にあたりあいさつした伊藤ハム米久HDの米田雅行常務執行役員加工食品事業本部副事業本部長は、市場環境などについて要旨次のように話した。
〈米田常務発表会説明〉
今年度の外食・中食を合わせた業務用市場は(月次で)概ね前年を上回っているとみられるものの、コロナ前の2019年比ではまだ十数%下回る状況が続いている。人流の増減や感染拡大と収束が繰り返される中、コロナ禍の状況が業務用市場にあまり影響しなくなってきている。オフィシャルには言えないとしても、実態としてはアフターコロナに近づいているか、まさにアフターコロナの中に入っているのではないかと感じる。
業務用得意先の状況は、ハム・ソーや食肉に限らず、原料、資材、人件費などあらゆるコストが上がり、我々の工場とも同じ状況であり、そうした中でお客様へどう付加価値を提案していくかが重要になっている。
当社では3月に1回目、10月に2回目の値上げを行ったところで、非常に提案が難しい環境にある。なお、当社の業務用売上高の中身を見れば、半分強が大手CVS・外食チェーン等と共同開発する「専用品」、残りの半分弱がSM 等のインストアや中小・個人外食店で使われるNB品であり、今回は後者のご提案となる。
そこでは、値上げの実施とは矛盾するようだが、いかにコストダウンに寄与するかという提案が中心となる。価格は下げられない状況の中で、オペレーションコスト削減、商品ロス削減に資する保存性向上・パッケージサイズの見直しなどで、トータルでのコストダウンを提案することが切り口の1つ目となる。それに加え、付加価値・おいしさの向上を図り、双方でのご提案をしていく。
また、近年のコロナ禍の中で、得意先小売業によっては業務用商品を家庭用で販売する「冷凍小売販売」が増えており、それに対応するパッケージ形態にした商品も提案していく。
家庭用では量目変更なども行っている中、生産量をキープすることが加工食品事業では非常に重要で、下期は加工食品事業全体の中で業務用の重要性が高くなる。昨年対比では伸びている市場で、シェアをしっかり確保することがキーとなり、加工食品事業全体としても取り組んでいこうというところだ。
〈冷食日報2022年10月21日付〉