イートアンド「関東第三工場」稼働開始、高速化とAI・IoT 活用の「停まらない」ラインで生産性向上
イートアンドフーズの新工場「関東第三工場」(群馬県板倉町)が9月28日に竣工し、このほど、試験稼働を開始した。11月中の本格稼働を目指す。
主力商品である「大阪王将 羽根つき餃子」の製造ラインを導入し、生産設備を増強。コロナ禍を背景とした内食需要の拡大で、今後一層の成長が見込まれる冷凍食品市場で、需要増加に確実に対応する体制を整える。11月10日・11日の両日、得意先の小売業・卸売業や報道関係者ら、約100人を招き、新工場の内覧会を開いた。
既存の関東工場には、2012年9月に竣工した第一工場、道路をはさんだ裏側には、2020年12月に竣工した第二工場があった。今回の第三工場は、第二工場に隣接して建設しており、内部は繋がっている構造となっている。生産品目は第一工場が「羽根つき餃子」を中心とする焼餃子、「ぷるもち水餃子」を中心とする水餃子、「たれつき肉焼売」を中心とする焼売および、外食店舗向けの麺類、餃子の皮や中具など、第二工場では焼餃子と水餃子で、関東第三工場では当面は焼餃子の生産を予定する。
第三工場は、建物・設備合計約24億円を投じて建設。新技術を積極的に導入し、高品質と安全性の追求、および低コスト運営の両立を目指した工場として立ち上げた。建物内には、最大4ラインを設置するスペースがあるが、現時点では焼餃子1ラインを設置しており、約595トン/月の生産を予定する。
同ラインは「日本最速級」(機械メーカー)のラインだとされ、第一工場の既存ラインの約2倍の生産速度を誇る。さらに速度のみならず、AI、IoT を活用して「停まらない工場」を実現し、高い生産性を実現する。同社では、第三工場建設に先立ち、関西工場(大阪府枚方市)で1年以上検証を重ね、スマートファクトリー化を検証してきたという。
各機器をIoT で繋ぐことで、タイムリーに製造状況を管理し、生産速度、歩留まりを自動調整するほか、AI での画像センシングにより、異物混入を防止。また、添付するタレの異常確認など、目視検査をカメラによる自動判別とロボットでの排出により自動化している。
機械装置面では、自動回避のための「アキュム装置」を設置。設備の一部に異常があった際、製品を一時的に回避する“バッファ“として機能し、ライン全体を停止しなくても済むほか、トラブルによる製品ロス削減にも繋がる。
なお、焼餃子の関東工場における既存ラインは、第一工場が3ライン、第二工場が2ラインで、第三工場と合わせて計6ラインとなる。
イートアンドフーズの山本浩取締役専務執行役員(イートアンドホールディングス取締役と兼務)によれば、効率の良い第二・第三工場に通常品の「羽根つき餃子」を集中させ、第一工場の焼餃子ラインでは、近年要望の高まっている大袋商品も含めて生産するなど、役割分担を図るという。
また、第三工場で現在は空きとなっている3ライン分のスペースで何を生産するかは現時点では未定で、従来と異なるカテゴリーの商品を生産する可能性もあるという。
今後、第三工場がフル稼働に至った際には、関東工場全体の生産能力は約4,400トン/月に至ることになる。
なお、第2四半期累計(3~8月)の、関西工場・関東工場および岡山工場含めた同社全体の向上生産量は前年比6.6%増の1万7,142トン、通期の生産量見込みは新工場を含め前年比6.1%増の3万5,000トンを計画しているという。
〈冷食日報2022年11月15日付〉