「ラーメン自販機」Yo-Kai Expressと冷凍事業「DayBreak」合同プレゼン、冷凍の入口と出口の最適解を探る
米国発のラーメン自動調理自販機を展開するYo-Kai Express(ヨーカイ社)と特殊冷凍事業のスタートアップ企業DayBreak(デイブレイク)は12月8日、合同でメディア向けプレゼンテーションを行った。
両社の具体的な連携事業については明らかにしなかったが、フードテックの主役の一つとして冷凍技術への注目が高まるなか、いわば入口と出口のスタートアップ企業の連携は今後注目される。
デイブレイクは独自技術を用いた特殊冷凍機を軸に、冷凍品製造のコンサルティングから冷凍食材販売まで幅広く手掛けている。特殊冷凍機「アートロックフリーザー」は複数のファンを組み合わせてやわらかい冷風によって庫内全体を冷やすのが特徴。これにより直風による食品の乾燥などのダメージを防ぐことができる。
最新機はセンサーによって自動で冷凍条件を調節する「スマートフリーズ」機能を備える。デモでは揚げたての豚カツを熱いまま庫内に入れて凍結させた。通常、熱いまま食品を入れると霜が生じて冷却性能が落ちるが、アートロックフリーザーは性能劣化しづらい仕組みになっているという。豚カツは60分ほどで凍結し、レンジ調理でサクサクの食感がよみがえった。
ただ機械の導入だけでは良い冷凍商品は出来ないとして、コンサルティング業務に力を入れているのが同社の特徴だ。食材の前処理から冷凍、保管、解凍・調理までノウハウを提供している。
ヨーカイ社から創業者でCEOのアンディー・リン氏が駆け付けた。自販機型の自動調理機による食事提供を2019年12月から展開している、シリコンバレー発の企業だ。冷凍食材を電子レンジではなくスチームと熱湯で解凍する、独自の調理技術を採用している。調理スペースの衛生面もスチームによって保っている。
米国ではオフィスや空港、ショッピングモール、最近ではホテル、病院などでの採用が進み、50カ所以上に設置しているという。日本では上野駅の新幹線改札内や羽田空港第2ターミナル、首都高の加平PA・平和島PA、NTTデータの社食など計9台を運用している。今後は米国と同様に、ホテルや病院に導入を進めていきたい考えだ。自販機は1台に50食入り、商品の補充は佐川急便の関連会社であるワールドサプライに委託している。
ヨーカイ社は力の源ホールディングスと日本たばこ産業との2社と資本業務提携を結び、新たなメニュー開発も進めている。新商品として8日に、「一風堂」を運営する力の源カンパニーと開発した「旭川Miso Butter」「函館Shio」「信州Kamo Soba」(いずれも力の源グループの渡辺製麺提供、各税込790円)を発売した。
グローバル展開を見据えて商品名を付けたという。なお「一風堂博多とんこつラーメン」「IPPUDOプラントベース(豚骨風)ラーメン」は9月から各税込980円で発売している。また2023年1月からテーブルマークと開発したうどんメニュー3品として、「あまから牛肉Dashi Udon」、「みるきいカレーDashiUdon」(以上2品は各税込880円)、「しみしみお揚げDashi Udon」(税込790円)を発売する。製品は生産各社から専用カップに入りトップシールをした状態で納入されている。
米国ではご飯ものやパスタも提供しているが、日本向けに提供できる水準にはないとしている。合同プレゼンでは、製造のソフト面のノウハウも持つデイブレイクとの協業で、冷凍の入口と出口の最適解を探っていく意欲ものぞかせた。