昭和冷凍食品 供給ひっぱくのたこ焼ライン増設、2022年1~11月売上は2.4%増も経常利益は半減

昭和冷凍食品・金子敦社長
昭和冷凍食品・金子敦社長

昭和冷凍食品の今期業績は1~11月累計で売上高は2.4%増と前年を上回った一方、経常利益は49%減と半減した。

エネルギーや原材料のコスト上昇の影響が大きく、価格改定など実施したものの吸収しきれずに大幅減益となった。通期も同様の着地見通しだ。

一方で、来年早々に丸たこ焼ラインを増設することを決めた。丸たこ焼は足元で供給がひっ迫している状況にあったが、安定供給につなげる。また供給余力が生まれることで、個食商品などにも対応できるようになるという。金子敦社長が12月16日、専門紙向け年末会見で説明した。

カテゴリー別の物量の増減について。ワンタン・ラビオリは前年比減少した。昨年冬が温かく、今冬も気温が下がるのが平年に比べて遅かった。暖冬の影響を受けているという。ホテルビュッフェも戻りきっておらず、来期は需要が伸びているワンタンメン用の需要を取り込んでいきたい考えだ。

プチケーキ類は微減。外食・ホテルはコロナ影響が若干薄れ、旅行支援などの政策もあり回復傾向にあるものの、まだまだコロナ以前の売上げには戻っていないとしている。

家庭用「ひとくちホットケーキ」シリーズでは来期、プチアメリカンドッグなどに品種の幅を広げる考えだ。

たこ焼きは4%増。新たに挑戦している家庭用が順調に推移している。定番化率が高く、順調に実績を積み上げた。デリカ向けも堅調だ。ホットケーキは苦戦。外食中心に販売してきたが、学校給食などに販路戦略を検討している。

今川焼・たい焼は委託生産品だが、20%増と伸長。生協共同購入を中心に大幅に増加した。冷凍パン生地は減少した。取引先であるインストアベーカリーにおける内製化への切り替えや店舗縮小などが影響した。量販スーパーでは惣菜コーナーでの採用も続いているが、一部商品では価格改定を行った影響もみられるという。外食・ホテルは回復傾向にある。

昨年から注力している家庭用パン生地は着実に増加しているが、解凍と成形が必要な手作り型の商品であることを今後、丁寧に説明していく必要があるとしている。

価格改定は2022年3月、10月と2回実施した。家庭用では2023年3月1日に価格改定を実施すると案内を始めた。改定率は約6~22%アップ。業務用も値上げが必要な状況にある。

昭和冷凍食品は2023年、設立30周年を迎える。今後のさらなる事業拡大を目指し、将来に向けた取り組みの一つとして、たこ焼ラインの設備増強を行うことを決めた。

丸たこ焼の焼成機とフリーザー、包装機――丸々1ラインを増設する。生産能力は月間60万粒程度。2ライン化により生産能力はおよそ2倍になる。年明け以降に工事を始め、3月から生産を開始する計画だ。「食品の安全確保を大前提にしたうえで、一層の品質向上や生産性の改善に取り組む。より幅広いお客様に安定供給していく」とした。既存のたこ焼ラインのフリーザーも更新し、投資総額は3億6,000万円となる。

〈冷食日報2022年12月20日付〉

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昭和47年(1972年)5月
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