日清製粉ウェルナ パスタは堅調キープ、「ミニチュロス」なども好調 新たな価値提案も/岩橋恭彦専務取締役インタビュー
(日清フーズは)2022年1月から社名を改め、日清製粉ウェルナとして活動をスタートした。
2022年3月と9月には、社名を広く知ってもらうための広告などに取り組んだ。これらの活動の効果はてきめんで、パッケージ訴求など含めて商品との紐づけも強化したところ、商品は良い動きだった。この施策はまだ初年度なので、今後も継続していく。
2022年の家庭用の商品は、パスタの需要は月によって凹凸はあるものの、高止まりの状態を見せている。ワンディッシュ商品はコロナ以前の2019年よりも伸びているが、2021年比では厳しい年だったと思う。
コロナ禍にテレワークを行う人は確実に増え、昼食需要は依然として残っており、今後もこの需要は無くならないと考えている。「青の洞窟」シリーズは前年と比べると若干厳し状態だった。昨秋に発売したパスタソースは、高付加価値品の市場を活性化させたいというニーズにはあっていたのか、一定の動きが見られた。
業務用の市場は、飲食店などの働き手が減っていて、オペレーションを簡略化したいというニーズは増えている。ここは今後も増えていくだろう。中でも、「マ・マー THE PRO『IQF バラ凍結パスタ』」シリーズのマカロニは順調だった。人手の集まりにくい中で、簡単に本格的な料理を提供できる商品の支持は厚く、売上が伸びている。こうした課題解決に新商品で役立つことができればと思う。
2022年9月に冷凍食品の価格改定を発表した。極端に売り上げが落ち込むかと思ったが強い引き合いが今もある。
2022年を振り返るとコストアップに苦しめられた年だった。原材料だけでなく、包装や物流など、さまざまな値上げが顕著だった。
その中で、新規ジャンルに挑戦した年でもあった。2022年9月に発売した「SmartTable ミニチュロス」2品は、我々としては新しい挑戦で、想定以上に順調な動きを見せている。市販では珍しい商品だったためか、量販店からの評判は非常に高かった。また、販売施策としてキッチンカーを使った無料サンプリングなどを行い、広く知ってもらえたのではと思う。
市場環境は目まぐるしく変化していて、物価高騰の影響もあり2023年は節約志向も高まるかもしれない。その一方で、美味しいモノを食べたいというニーズも強まっているように感じる。
2022年に高単価な冷凍食品が一定の需要を捉えたことからも、付加価値化の流れは止まらないだろう。我々もそうした価値のある商品の研究開発を継続する。
来春の新商品として、価値のある商品などのラインナップを拡充すると共に、既存ブランドのラインアップや、パスタ以外の商品群も充実させたいと思う。また、人手不足などの課題解決に貢献する商品も提案できればと思う。
EC(通販)の準備も整えている。販売チャネルとしては魅力的で、EC専用商品は今のところ考えていないが、一般のスーパーではなかなか扱ってもらえない高級タイプの商品や、ニッチな需要に応える商品などは可能性があると感じる。新たなターゲットにアプローチできる提案を行いたいと思う。
今後の市場はコストインフレが続くだろう。下げられるところは下げつつも、新たな価値提案も進める。
〈冷食日報2022年12月26日付〉