原田産業 納豆蒸煮「クラッチ式蒸煮釜」増設増加、蒸煮の自動化も可能、技術継承が容易に
〈納豆発酵システム「NPC」も提案、必要最小限の機能で中小も導入可能な価格帯に〉
穀物選別機メーカー原田産業の原田直輝社長は、この1年の業界別の受注状況について、「みそ、納豆、豆腐は、技術継承など20~30年先を見据えた設備改善が行われており、新工場を含めて受注が多かった。一方、豆乳やコーヒーはパイが増えており、業種拡張のための増設の話があった」と振り返る。
中でも納豆関連では、「クラッチ式蒸煮釜」の増設案件が大手メーカーを中心に増えている。従来品と同じ仕様でサイズは変わらないため、老朽化による置き換えの際に更新がとても楽と好評だという。中規模メーカー向けに、例えばオールステンレスではなく、スチール地にサビ止めを塗るという具合に、必要最低限の機能に絞った製品の開発も検討している。「ニーズがあるのであれば、カスタマイズ可能なので相談してもらいたい」と述べる。
「クラッチ式蒸煮釜」は、自動蒸煮システム「NJC」と組み合わせることで、納豆の蒸煮の自動化が可能になる。蒸煮工程はコンピュータに自動で記録され、トレーサビリティにも対応できる。従来は紙で残していたデータも、何か問題が生じた場合、すぐにプリントアウトして提出することが可能だ。既存の蒸煮釜を改造し、自動制御できる制御盤を取り付ける改造にも対応している。
蒸煮工程はそれまで、手動でバルブを操作していたため、職人の技術を継承するのが難しかったという。「NJC」を導入すると、温度計と圧力センサーが連動して蒸気の出し入れを自動化することができる。操作が簡単なため、技術継承も容易になる。
最近は後継者不足で廃業するケースもあり、中小メーカーでは人手不足も課題となっている。同システムを導入することによって、省人化につながると好評だとしている。
納豆の品質について、「職人がつくる納豆を100点とすると、『NJC』で80~90点のものはつくれる。職人技には勝てないが、近づける努力はしている」と、更なる品質向上を目指し、改良に取り組んでいる。
納豆発酵システム「NPC」も提案している。発酵システム自体は元から手掛けていたが、大掛かりな装置だったため、必要最小限の機能に絞ることで簡素化し、中小メーカーでも導入可能な価格帯にした。
納豆の発酵工程は通常、室温を40℃ほどに保って管理されているが、「NPC」はセンサーで納豆の品温を計っている。一回り大きい熱交換機を使っており、品質が均一の納豆をつくることができるのが特徴だとしている。
〈ひきわり納豆の大型機は大手メーカーに複数導入、中小向けの小型設備の納入も可能〉
納豆関連の設備では、ひきわり納豆を作るため、粉砕設備も手掛けている。大豆を粉砕して皮を取る「大豆ひきわり設備」は、大豆をきれいに4分割にすることができるのが特徴だ。
大型機については同社しかノウハウを有しておらず、納豆メインで全国販売しているメーカーに複数導入されている。中小メーカー向けには小型設備の納入も可能だという。
ひきわり納豆について、「通常ブームは2週間程度で落ち着くが、引き続き人気となっている。おいしく、食べやすいことから定着している。離乳食としても使われていると聞く」と説明する。
〈大豆油糧日報2023年2月6日付〉