2022年12月の食品輸出実績は単月過去最多1308億円、牛肉は前年比8.6%減59億で苦戦も台湾向けは好調/農林水産省
〈2022年の年間輸出額も過去最多1.4兆円、牛肉は4%減・520億円、米国の消費減退が影響か〉
農林水産省は2月3日、2022年12月の農林水産物・食品の輸出額が、単月として過去最多の1308億円(2021年同月比7.5%増)だとした。これに伴い、2022年年間でも過去最多となる1兆4148億円(14.3%増、少額貨物・767億円含む)にのぼり、10年連続で前年実績を上回った。
12月はアジア向けのリンゴや牛乳・乳製品、ホタテ貝が好調だった反面、カンボジア向け牛肉などは不調だった。国・地域別では中国や台湾、香港向けが好調で、台湾向けは牛肉やリンゴなどがけん引した。
12月の輸出額(1308億円)のうち、農産物が893億円を占めた。畜産品は5.5%増の130億4000万円、畜産物は10.2%増の107億4200万円となった。うち牛肉は8.6%減の59億8300万円、牛乳・乳製品は69.1%増の38億4200万円、鶏卵は1.6%増の5億2000万円、豚肉は12.0%増の2億6300万円、鶏肉は25.8%減の1億3500万円だった。牛乳・乳製品で大きく増加した半面、牛肉や鶏肉が減少した。
2022年年間では過去最多となる、14.3%増の1兆4148億円となった。2022年は多くの国・地域で外食向けがコロナによる落ち込みから回復したこと、円安による海外市場での競争環境改善も追い風に、輸出額が伸長した。品目別では、中国や米国向け水産物、中国向けアルコール飲料、香港や台湾向け成果物、ベトナム向け牛乳・乳製品の伸長が大きかった。香港向けは上半期を中心にコロナによる外食規制、欧米向けは下半期からインフレによる消費減退の影響を受けた。そのほか、政府一体で進めてきた輸出支援プラットフォームの設立などの輸出拡大の取組も輸出を後押しした。
輸出額のうち農産物が8870億円で、畜産品は11.3%増の1268億2700万円、畜産物は8.6%増の968億2000万円だった。牛肉は4.0%減の520億1900万円、牛乳・乳製品は30.9%増の319億2600万円、鶏卵は42.4%増の85億4600万円、豚肉は10.6%減の23億2600万円、鶏肉は0.6%増の20億300万円だった。
過去最多を更新した2022年だが、畜産関連では牛乳・乳製品と鶏卵で過去最高を更新したが、前年割れの牛肉と豚肉、さらに鶏肉も過去最高の更新には至らなかった。牛肉は、カンボジア向け輸出の減少、米国での物価高騰等による消費減退が影響した。とくに米国向けでは、複数国枠による低関税枠(6万5005t)が早々に超過したことも影響した模様だ。牛肉の輸出先シェアは米国(18%)、香港(16%)、台湾(14%)、カンボジア(14%)、シンガポール(7%)の順となった。香港向けは上半期こそ、伸び悩んだが、下半期は回復し、通年では約3%増となった。
畜産関連以外の農産物の多くで過去最多となる輸出額を記録した。加工食品でアルコール飲料(日本酒、ウイスキー、焼酎)が21.4%増の1392億2400万円を筆頭に、ソース混合調味料、清涼飲料水、菓子(米菓除く)、醤油、米菓、味噌などが軒並み過去最高となった。穀物等では米(援助米除く)が過去最多となる73億8200万円(24.4%増)。野菜・果実等の多くも昨対比で1~5割伸長し、過去最多となった。
〈畜産日報2023年2月6日付〉