J-オイルミルズ マーガリン事業の対応策は“本決算で報告”、想定以上の販売減と価格改定の遅れ響く/2023年3月期第3四半期決算説明会
J-オイルミルズは2月6日、2023年3月期第3四半期決算説明会をオンラインで開催した。
佐藤達也社長はスペシャリティフード事業の通期業績予想を営業損失6.5億円に下方修正したことに対し、「マーガリン事業は家庭用、業務用とも価格改定の実現が遅れ、販売数量も想定を下回り、原料悪化コストを吸収することが難しいと判断した。第4四半期も厳しい環境が継続する見通しだ」と説明した。
その上で、「4期連続の赤字見通しとなったことは非常に重く受け止めている。本決算までしっかり結果を見極め、検討している対応策を5月の本決算説明のタイミングで報告する」とした。
佐藤社長は第3四半期の結果について、「売上高は価格改定を進めた結果、前年同期31%の増収となったが、営業利益は一部価格改定の実現の遅れもあり、3.5億円の営業損失を計上した」と振り返った。
油脂事業は、価格改定や業務用の高付加価値の長持ち油「サステック」の拡売、ミール価格の上昇などで35%増収となった。営業利益は、原料相場の高止まりや円安によるコスト悪化の影響を受けたが、ミール価格の上昇と価格改定の浸透により赤字幅が縮小し、2.2億円の利益を確保したとした。
販売数量については、「価格改定は原料やエネルギーなどのコストアップ分を吸収できる水準まで進んでいるものの、特に家庭用において、急激な原料コスト上昇に伴う度重なる価格改定による節約志向の高まりや物価高による買い控え、クッキングオイル市場の構造変化への対応が遅れた結果、前年を下回った」と説明した。
スペシャリティフード事業の売上高も価格改定で増収となったが、営業利益は急激な原料価格の上昇を補え切れず、6.9億円の営業損失となった。特に乳系プラントベースフードのうち、マーガリン事業は主原料のパーム油が2022年3月に過去最高値を更新し、その後も高値で推移したことなどを受け、「販売価格の改定や大幅な経費削減、昨年度から取り組む構造改革による収益改善効果で一部打ち返したが、想定以上の販売数量の減少と価格改定の遅れが響いた」とした。
〈「スマートグリーンパック」着実に拡大、「ビオライフ」3月棚割りで配荷増見込み〉
油脂事業の販売戦略については、上垣内猛取締役専務執行役員油脂事業本部長が説明した。「まだまだ外部環境は不確実だが、市場並の販売量を確保して価格を維持していくことが販売方針だ」と述べた。
家庭用は競合に比べて配荷率が低く、製品ポートフォリオが偏重気味というのが課題だったが、「スマートグリーンパック」は着実に販売先を拡げているという。一方で、ポートフォリオに関しては、クッキングオイルとシーズニングオイルの主力製品を中心にダウンサイズ化し、ポートフォリオの改善を進めていくとした。
キャノーラ油を中心とした汎用油は足元の重量は前年比約73%だが、機能性のある汎用品は対前年で3倍となっている市場環境にふれた上で、「マーケットの大きな構造変化に対し、私たちの取り組みは競合に比べて遅れ気味だ」とした。
一方、業務用については、「強みである大手顧客の構成比が高いことを最大限に生かし、安定的に販売重量と利益を確保したい。長持ち機能の需要は継続して高いと考えており、今後も付加価値のある商品への切り替えや、新規開拓を進めていく」と説明した。
「ビオライフ」の販売状況は、大高寛専務執行役員スペシャリティフード事業本部長によると、国内家庭用のチーズ市場は前年比97%だが、PBチーズのカテゴリはシェア1%ほどながら190%近い伸びを示しているという。「その中で『ビオライフ』は23%のシェアを取れている。2022年9月から発売開始した内製化しているシュレッドタイプを3月の棚割りから拡販していく。配荷点数は随分増えていく見込みだ。新製品の発売も検討している」と述べた。
また、「今後の新しいチャネルで可能性を感じているのは宅配ビジネスで、1月末からスタートしており、一定の成果を見込んでいる。業務用は徐々に大手の小売チェーンやセントラルキッチンなどで弁当の採用が決まっており、マーケティング活動を展開していきたい」とした。
〈大豆油糧日報2023年2月8日付〉