ケイエス冷凍食品 コロナ前の売上・利益水準に回復、小型ミンチ加工技術“もっと広い視点”で活用へ

2022年度業績報告会、左から篠原取締役常務執行役員、池内社長、古賀常務執行役員
2022年度業績報告会、左から篠原取締役常務執行役員、池内社長、古賀常務執行役員

ケイエス冷凍食品は2月20日、2022年度業績報告会を専門紙向けに開いた。

コロナ禍によって2020年、2021年と苦戦が続いたが、2022年度は業務用の回復や価格改定が寄与して、売上・利益ともコロナ前の2019年度並みに回復した。今期(2023年12月期)は家庭用では「鶏つくね串」30周年、「肉だんご」50周年を契機に主力品の配荷拡大と拡販に注力する。食卓向け商品への挑戦も続ける。業務用はデリカ・学校給食に加え、市場回復が顕著なホテルなど外食市場への販売を強化し、売上構成比の拡大を図る。

池内良彰社長は冒頭2022年度を振り返り「この業界に長くいるが、1年間に2回の値上げは初めての経験だ」と述べた。この春も値上げを予定しており「丁寧に説明してしっかり値上げを完遂する。自社工場品を中心とした質の高いトップラインを獲得したい」と述べた。

2022年度は家庭用では弁当品群は増収となったが、食卓品群が大幅な減収となり、トータルで前年を下回った。弁当品は「小売店が売場を縮小傾向にある厳しい環境にあったが、定番に残った商品は、値上げにもかかわらず回転が落ちずに販売を維持できた」とした。一方で食卓向けの新商品「鶏つくね串(タレ)」は想定以上に配荷を獲得できなかった。また肉だんごとエビチリはリニューアルして配荷は維持したが、想定した回転に至らず、苦戦した。

業務用は2019年の事業量までは回復していないが、値上げ効果もあり売上・利益はコロナ前の水準に回復した。2021年からデリカと学校給食ルートに注力。「弱かった学給ルートは営業活動の強化によって各エリアとも拡販が進んだ。デリカでは人手不足に対してオペレーションを軽減する商材や、豆腐商材を中心とした委託工場品が好調に推移した」。お盆と年末年始のオードブル需要も大幅に回復した。

夏以降は、これまで壊滅的なダメージを受けていたホテルルートが復調しプラスに寄与。新規のEC チャネル、宅配業者、大手外食チェーンでの肉だんごの導入も上積みとなった。利益もコロナ前の水準に戻った。要因は業務用の売上回復、値上げによる価格転嫁、固定費の削減、工場の生産効率の上昇。

工場収益については、生産本部の担当役員の変更と、製造部長として親会社のテーブルマークから人材を招へいし、生産本部体制を大幅に変えた。「他の工場から管理実務の経験がある人材を迎え入れるのは初めてだったが、今までにない視点や知見が加わり、ロスや歩留まりの改善が前進した。効果は非常に大きかった」。

業務用需要の急回復で夏前に一時品薄になり休日出勤なども行ったという。生産量が大幅に増加したことで工場利益が大幅に改善した。商品企画・開発体制も大幅に変更した。マーケティング部と開発部とのコミュニケーションを強化し、結果として家庭用では秋棚の配荷数が増加し、業務用の新商品の上市数も増加した。

2023年度は春の値上げを完遂するほか、家庭用では主力の「鶏つくね串」の30周年をフックに未導入企業への配荷拡大を目指す。「肉だんご」も今年、発売50周年を訴求していく。業務用は注力ルートに応じた施策の実施により売上構成比の拡大を図る。2022年度の売上構成比は家庭用と業務用で52対48だった。

業務用では「ターゲットユーザーを見直し、デリカ、学給といった注力チャネルの攻略を進める。インバウンドなどで急回復しているホテルルートを主体とした外食市場へ、たれ付肉だんごの拡販を進める」とした。

池内社長は「昨年、商品企画・開発の進むべき方向性について、時間をかけて議論した。強い商品を生み出すために商品本部を立ち上げ、マーケティング部と開発部の一体化と連携強化によってスピード感のある商品づくりを進める」と意気込んだ。

泉佐野工場の技術を活かせる、小型ミンチ加工品をより広い視点から見て企画・開発していく。「従来の肉だんご、つくねにこだわらず、委託先も活用しながら、ワンプレートや小型ミンチ加工品がおいしいものであることをもっと伝えていける商品を、どのように世の中に提案していくかを考えて企画開発に落とし込んでいく」(篠原史訓取締役常務執行役員)とした。

〈冷食日報2023年2月22日付〉

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昭和47年(1972年)5月
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