山形大豆ミート使用の総菜「やさしい大豆」ハンバーグ・キーマカレー・山形ガパオ・ボロネーゼ発売/食の力コーポレーション
山形県の「食の力コーポレーション」は、大豆を栽培するところから、同社が納得のいく大豆ミートを作るまでを手掛けるベンチャー企業だ。「焼肉きんぐ」や「一番カルビ」などで有名な物語コーポレーションに在籍していた福原和輝社長が率いる。
もともと福原氏の実家は鮮魚店で、一時継いだが、新型コロナの影響でSDGsや世界的な食糧難が叫ばれる世の中になったころから、自分に何ができるのかを考えた。日本にとっても大切な原材料であり、食糧安保の観点からも大切な大豆を、耕作放棄地を使って栽培することに決めた。
「現在3ヘクタールの土地で大豆を栽培しているが、10年で40ヘクタールに伸ばしたい」とする。また、大豆ミートの開発に向け、国の補助事業「麦・大豆国産化プラン」を使って建屋の設立を目指す。
食の力コーポレーションが手掛ける大豆ミートは、山形県産の大豆・里のほほえみを使用しており、皮や油脂をつぶさずに丸ごと使った新しい大豆加工品だ。その大豆ミートを山形大豆ミートとしてブランド化し、山形大豆ミートを使った総菜シリーズ「やさしい大豆」の販売を1月16日から開始して、新庄市のマルシェゴーノメや山形のスーパーマーケット「モーズ」でも販売が開始された。
「やさしい大豆」シリーズでは、塩分や脂質を控え「やさしい味」なのに、素材の個性を活かし濃厚なうま味を両立させた「ハンバーグ、キーマカレー、山形ガパオ、ボロネーゼ」の4種類を展開している。価格はハンバークが税込330円、そのほかの3種類は350円。
「大手食品卸にも取り扱いをお願いしている。2023年の11月には川崎市の大島小学校で、山形大豆ミートを使ったSDGsの課題解決のための課外授業を実施した。教育委員会と一緒に作り上げていった授業で、給食でも食べてもらった。ビジネスとしても学校給食に活用してもらいたい。食べるだけでもSDGsの解決につながる商品だ。それを公に食べることが重要だと思った」と啓発活動にも力を入れる。
〈大豆も溶液栽培を、1ヘクタールで現状の50倍150tの収量を目指す〉
2022年3月末に閉校した明安小学校(山形県金山町)を明安食学校と命名してリニューアルし、土日祝日だけ、大豆ミートが食べられるようにしている。
「4月にはグランドオープンする予定だが、明安食学校として、食べながらSDGsのことも学べる学校とし、教育旅行の一環として活用してもらいたい。金山町の教育事務所と一緒に作り上げており、グランドオープンに向け、準備が急ピッチで進んでいる。平日も営業するようになるので、みんなで勉強して食べて、SDGsの課題を解決していきたい。5回に1回、大豆ミートを食べてもらえれば、環境問題の解決にもつながる。また、大豆栽培や収穫なども子どもたちと一緒に盛り上げていければ」と福原社長は思いをはせる。
さらに、これまでの大豆栽培の概念を変えるチャレンジにも挑んでいる。
「ミニトマトやいちごのように、大豆も養液栽培ができたらと考えている。露地栽培はこの先、人口増加に対して限界が来る。農業資材メーカーと組んで、ガラス張りのハウスを作り、階層構造にして栽培することで、1ヘクタール2.5tという現状から、50倍の150tを目指す」。
地域全体となって課題解決に挑み成功すれば、他の地域においてもモデルケースとして転用できる。福原社長の試みは今後とも注目を集めそうだ。
〈大豆油糧日報2023年2月22日付〉