ニチワ電機「激変する外食産業界、これから求められる厨房」セミナーで人手不足、食材・光熱費高騰に向けた厨房改革を強調“メーカーの協力で組織環境の再構築を”
ニチワ電機は2月7日、東京ビッグサイトで開かれたフード・ケータリングショーでをテーマにセミナーを行った。
西耕平専務取締役は、外食企業はじめ病院・介護施設などの栄養士、調理師ら100名に、厨房改革に向けた調理作業の集約と自動化の考え方とそれを実現する厨房機器を紹介した。
西専務は冒頭、「厨房には、人、時間、電気、ガス、炭、水、食材、調味料、食油、洗剤、消毒液の11の消費があり、下手をすると浪費になってしまう。これらのほとんどは調理における温度と時間によって消費されるので、同じ温度帯の調理ならば同時にできないか、あるいは、人がいないからこそ調理工程を前倒しして計画調理ができないか、といった発想が不可欠である。食油はじめ食材価格の高騰と光熱費の上昇、そして深刻な人手不足の時代だからこそ、鍋・釜から、スチームコンベクションオーブンや再加熱調理機器に変えて、生産性を向上しなくてはいけない。温度と時間の管理をしっかりと行い、調理作業の集約と自動化を検討しなくてはこの事態を乗り越えられないだろう」と警鐘を鳴らした。
〈スチコン式の再加熱に拘れば、ごはんやパンも仕上がり良い〉
西氏は図を用い、機器の導入によって、いかに加熱調理が効率化でき、省スペース・省エネ・省人化を図れるかを説明した。
鍋・釜調理では、10種類の温度帯の加熱調理を管理しなくてはならないが、スチームコンベクションオーブンだと、焼く、炒める/揚げる、煮る、蒸すの4種類の温度帯にまとめて同時調理が可能。さらに、再加熱カートやリヒートウォーマーキャビネットなどの再加熱調理機器を使えば、温度帯を1種類に纏めることができ、さらなる厨房作業の省人化が実現できるという。
特に再加熱方式については、「再加熱をして、ごはんが乾燥する、卵焼きが硬くなる、パンが硬化するといった課題を抱えている病院・施設があるが、それは本来再加熱方式の問題。スチコン式再加熱と温度帯にこだわれば、ごはんやパン、めん、難しいとされた目玉焼きでさえ、仕上がり良く提供できる」と補足して、「医療食・介護食の業界では診療報酬が長年上がらずかなり厳しく、厨房はよりミニマムな設計が求められている。厨房改革をすすめ、おいしさを維持しつつ、早朝早出の出勤削減や労働環境の改善を図ってほしい」と求めた。
〈厨房改革で生産性が上がり喫食率も向上した社員食堂も〉
西氏は、複雑な献立を同じ温度帯で調理することで生産効率を上げた1000食の社員食堂の事例を紹介した。
「その食堂では、料理の提供温度が低い、盛付が見た目悪い等のクレームがあった。ニチワ電機が現場調査改善に入り加熱調理の主であったガスコンロや回転釜の調理の温度帯を集約し、スチームコンベクションオーブンに切り替えた。導入前は日に1166分かかっていた調理時間が導入後915分になり74%まで短縮でき同時に鍋・釜の洗浄にかかる作業量は減り、最終調理工程に余裕が生まれなるカフェテリアの盛付けにも人手を回すことができるようになった。食事の品質が上がり喫食率も向上した」と効果を語った。
また、人手不足により、完調品(事前に調理、冷凍・冷蔵された食材で、温めれば食べられれる食材)や半完調品(調理の下ごしらえがされている食材)の導入が、外食や給食施設で増えている実態を説明して、「これからの人手不足は完調品・半完調品を6~8割で検討する必要もある。それほどまでに人が減る。当然、加工度が高くなればなるほど調理作業時間が短くなり、加工度が低ければ施設の人件費が高くなってくる。献立毎に原価率維持管理をして、その施設で残すべき調理作業と適切な食材の選定が重要」と求めた。
最後に、西氏はこれから求められる厨房計画のポイントとして、「専門の厨房機器メーカーの協力体制をしき、その施設の状況と求める食事提供に合った厨房機器を選択し、厨房を取り巻く組織環境の再構築を図ってほしい」と呼びかけた。