USEN Media、ECサイト「ヒトサラCHEF’S MALL」の販売伸長 デリバリー向け展開も/成内英介社長インタビュー
USEN-NEXT HOLDINGSのグループ会社、USEN Mediaが運営するECサイト「ヒトサラCHEF’S MALL」。グルメサイトを通じて得たシェフとのつながりを活かし、ミシュランガイド東京で2つ星を獲得した店のカレーや、高級イタリアンのコースなど、他のECでは味わえない商品を扱っている。
今後は、オリジナル商品の展開を検討しているほか、グルメサイトで得たシェフとのつながりを活かし、有名シェフの手掛けるメニューを、バーチャルレストラン(実店舗を構えつつ、デリバリーサービスにも出店している飲食店)で販売するという。USEN Mediaの成内英介社長に聞いた。
――冷凍食品についてどう感じるか。
コロナ以前から需要は高まっていたが、コロナ禍を契機に単身世帯などの引き合いも増えている。今後も高齢者など単身世帯は増える見通しだ。家庭でセカンド冷凍庫の引き合いが増えているほか、コンビニやスーパーでも冷凍食品売場は広がっており、需要は伸び続けるだろう。
――「ヒトサラ CHEF’S MALL」を始めたきっかけは。
飲食店が時短営業や休業を余儀なくされていた頃、さまざまな飲食店の料理をテイクアウトで楽しんでいた。以前から中食と内食、外食の垣根が薄れつつあるとは言われていたが、実際に巡る中で、その境界はより薄れたのではと感じた。
料理を音楽に例えると、テイクアウトや冷凍商品はCDで、実際に店舗で食事をするのはライブを楽しむことと同じだと思う。飲食の場合、今まではライブしかなかったが、コロナ禍にテイクアウトなどを提供するようになったことで、テイクアウトでその店を試してみて、美味しかったなら実際に店で楽しみたいという、音楽のように食事を楽しむ人が増えたのでは。
ただ、テイクアウトは商品を提供できる範囲が限られる。そこで、ECで飲食店の味を展開できれば、より多くの人に楽しんでもらえると感じ、わずか半年でサイトをスタートさせた。食のボーダレス化は進んでいて、宅配事業者とフードデリバリーが競い合っていることもある。アメリカではネットスーパーとUber Eatsが競争している。日本でもこの流れは進んでいくのでは。
――「ヒトサラ CHEF’S MALL」の特色は。
販売している商品の6割が冷凍で、自店かこのサイトでしか販売していない商品を多く扱っている点が特徴だ。グルメサイト「ヒトサラ」を運営していたことが大きい。多くのシェフとの関係を築くことができ、そのおかげで他にない商品を多くそろえられた。現在は約500品を扱っている。利用単価も高く、平均6,000円前後で推移している。目標にはまだ届いていないが、売上は前年比で200~300%となっており、着実に伸ばしていけるのでは。
――どのような商品を扱っているか。
「ヒトサラ」でも協力してくれた多くのシェフに参加していただけた。その中でも売れている商品の一つは「ヒトサラCHEF’SMALL 名店カレーセット」だ。ジョエル・ロブションで活躍された飯塚シェフや、「料理の鉄人」でおなじみの坂井シェフなど、本当に有名な方たちが手掛けた商品を、一挙に楽しめる、贅沢な商品だと思う。
他にも、東京・北青山にある有名店「Ristorante HONDA(リストランデ・ホンダ)」のコースセットも、1万4,040円(税込)と高価だが、自宅で名店の味を気軽に楽しめる点などで支持を広げている。
シェフも本当は店で一番良い料理を味わって欲しいが、実際に店へ訪れることができない、訪れにくい時だったので、少しでも店の雰囲気を楽しんでもらうため、様々な工夫を行っていた。その中で、それぞれの店にとって最適な販売方法をとっている。
また、シェフも自分の店舗の商品が掲載されると自身のSNSで拡散してくださる。本当にありがたい。
――今後の市場動向は。
市場の拡大と共に競争は激しくなるだろう。瞬間冷凍技術が様々なところに広がり、冷凍商品のクオリティも高まっている。冷凍食品自体の存在感が高まるのはプラスだ。多くの方に冷凍食品の良さを知ってもらい、我々の商品も知ってもらえればと思う。
――今後の取り組みは。
2022年9月にUSEN-NEXT HOLDINGS のグループに入ったバーチャルレストラン社(東京都品川区)と手を組み、有名シェフとコラボしたメニューをバーチャルレストラン社の加盟店で、デリバリーを通して販売している。まず、YouTubeで人気のシェフ「ファビオ飯」さんとのコラボメニュー2種を発売した。
今後は、メディアでも活躍する著名なシェフが考案したメニューの販売も予定していて、準備を進めている。ECで販売していた商品をデリバリーでより気軽に味わえるようにする。また、シェフへのインタビューもYouTubeなどで配信を予定している。その他、将来的には自社開発の商品の展開も検討している。期待してもらえたらと思う。
〈冷食日報2023年4月4日付〉