業界を超えてLGBTQ学ぶ、ファミマとコカ・コーラが企業間勉強会
ファミリーマートとコカ・コーラシステムは4月21日、LGBTQについて社員向けに企業間の勉強会をオンライン形式で実施した。ファミリーマートでは、全国から営業担当、店舗勤務職、スタッフ職など、さまざまな職種の社員が参加した。ダイバーシティ(多様性)を推進しており、今回の勉強会はお互いの活動を知るとともに、LGBTQの当事者から話を聞く機会を作ることで、より活動を浸透させていくねらいだ。
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日本コカ・コーラのパトリック・ジョーダン人事本部長は、「人事部門で働いているが私自身もゲイだ。会社として重要なテーマに取り組んでいると思う」と話した。そして、コカ・コーラの重要な原則として、「ダイバーシティ・エクイティー&インクルージョン(多様性の尊重)」があるとし、「私たちが製品・サービスを提供する市場の多様性を、私たち自身にも反映する。コカ・コーラは世界のあらゆる国で販売し、さまざまな人が飲んでいる。われわれのブランドが差別をすることはない」とした。
また、日本のコカ・コーラシステムはLGBTQの外向けの活動で、同性婚の法制化を求めるキャンペーンと、LGBT平等法の制定を目指すキャンペーンへの賛同に注力している。内向けの活動では、同性パートナーに対する福利厚生制度や就業規則の改定などを行った。さらに、昨年7月には「LGBTQ+ アライ(性的少数者の理解者)のためのハンドブック」を作成。サイトで一般公開しており、社員だけでなく誰でも活用できるという。
これらの活動で、コカ・コーラシステム全6社で昨年、職場でのLGBTQの活動を評価する「PRIDE指標2022」で最高位のゴールドに認定され、加えて日本コカ・コーラとコカ・コーラボトラーズジャパンは、セクターを超えた協働を推進する企業として、レインボー認定を受けたことを紹介した。
ファミリーマートも3年連続で同指標のゴールドを受賞するなど、LGBTQの取り組みが進んでいる企業だ。同社マーケティング本部サステナビリティ推進部ダイバーシティ推進グループの坪井洋子さんは、「当社は2019年から真の多様性活躍と題し、女性、外国籍、障がい者、LGBTQの取り組みを開始した。LGBTQはカミングアウトしても、しなくてもよい、気兼ねなく発言できる職場の実現を目指している。そのため必要なのは、正しい知識と理解醸成、安心・安全な場づくりだ」とした。
具体的には、セミナー開催やニュースなどの発信のほか、同性パートナーの社内制度の適用、加盟要件の変更を行ったという。また、アライの活動でオリジナルデザインのステッカーやチャームを作ったと紹介した。坪井さんは、「企業から発信することで多くのことが伝えられる。当社は約15000店を展開する強みを生かして伝えていく」とした。
ゲストには、LGBTが豊かに楽しく年を重ねる世界を目指すNPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さんが登壇した。松中代表は、自身もゲイであることを紹介するとともに、「LGBTQ+の言葉がなぜ最近増えているのかと言われるが、増えたわけではない。もともと社会に存在していたが可視化されてこなかった」と語った。
人の性は「身体構造における性的特徴」「性自認」「性的指向」「性表現」の4つのかけ合わせがあるため、ひとりひとり性のあり方は異なっているという。「LGBTのカテゴリー4つの象徴の方だけでなく、(性のあり方が)多様だということが最近可視化され始めた。みなさん自身も性の多様性の中にいる」(松中代表)。
また、日本のLGBTQ+の人口構成比は、8.9%(電通「LGBTQ+調査2020」、2020年12月実施)と紹介し、左利きの割合が成人人口の8%程度とされることから、「ぐっと身近に感じてもらえるのでは」と話した。
なお、日本コカ・コーラとコカ・コーラボトラーズジャパンは、22日と23日に代々木公園(東京都渋谷区)で開かれたLGBTQ関連イベント「東京レインボープライド2023」に協賛し、ブース出展を行った。ファミリーマートも、同イベントのタイミングに合わせLGBTQ+コミュニティを象徴するレインボーデザインのタオルハンカチやソックスを販売したほか、同色のファミチキ袋も数量限定で用意した。両社は社内外でLGBTQの活動を広げていく考えだ。