日本冷凍食品協会「令和5年度通常総会」開催、2023年は冷凍食品認定制度の改定に向け検討進める、4年ぶりに懇親会実施も
日本冷凍食品協会は5月17日、東京・丸の内の東京會舘で令和5年度通常総会を開催した。今回は2019年(令和元年)以来、4年ぶりに懇親会も盛大に開催された。
総会では、決算・予算や事業報告・計画等の議事はすべて可決承認された。
今期の事業計画では、品質・技術事業において「冷凍食品認定制度」の改定検討を進める。通常、4年工場の2期=8年ごとの改定をベースとしており、令和7年度(2025年度)の改定実施に向け、周知期間を1年とし、2024年度には改定内容を会員に開示する必要があるため、今年度は長期を見据えた改定内容の具体化の検討とともに、制度改定に伴うシステムの改修に着手する。
広報事業においては、引き続き業界統一キャッチコピー「べんりとおいしいのその先へ 冷凍食品」をベースに、冷凍食品の優れた価値や特性の訴求、ポジティブイメージを高める活動を実施する。
例年同様、10月に「冷凍食品の日」PRイベント等を実施するほか、新たなテーマとして「認定制度、認定マークの認知度向上」を盛り込み、認知度向上によりその価値への理解度を高め、会員の製造する製品の価値を高める。具体的には、認定マークに関する消費者向け動画の制作、各種団体との連携によるセミナー・講座の開催、啓発資材の作成・活用等を検討する。
また、2022年に引き続き「10月18日は冷凍食品の日」「10月は冷凍食品月間」をフックとして同協会で店頭用POP 等を作成し、卸売業を介して小売業に案内し、より多くの店頭で掲示してもらうよう努めるという。
環境対策事業では、自然冷媒への転換促進において、今年度からの環境省の新規補助事業「コールドチェーンを支える冷蔵冷凍機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」(前年度までは「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」)の応募期間が既に始まっており(6月12日まで)、補助事業の概要を会員に周知するなど、フロンから自然冷媒への転換を促す。
統計調査事業においては、例年通り「冷凍食品の国内生産調査及び生産・消費に関する統計」などを実施するほか、コロナ禍により大きな影響を受けた外食産業等を対象に「外食における冷凍食品利用とテイクアウト調査」を実施。コロナ禍の間の外食業態における冷凍食品の利用状況の変化と、新たに自動機販売を含めた冷凍食品等のテイクアウト事業が大きく進展しており、その実態を調査する。
〈尾辻常務理事が退任、6月に川﨑順司ニチレイ取締役が常務理事に〉
役員人事では、通常の任期は来期までだが、人事異動等により理事3人の交代が可決された。常勤役員では、5月17日付で尾辻昭秀常務理事が退任し、同日付で川﨑順司氏(ニチレイ取締役上席執行役員品質保証部・新価値創造部管掌)が非常勤理事に就任。6月27日付のニチレイ株主総会で同社を退任し、6月28日付で常務理事への就任を予定する。ほか、人事異動に伴い新理事に岩橋恭彦氏(日清製粉ウェルナ社長)、大角亨氏(一般財団法人食品産業センター参与※6月専務理事就任予定)が選任された。
総会開催にあたりあいさつした大櫛顕也会長(ニチレイ社長)は、要旨次のように話した。
【大櫛顕也会長】
昨年度まで3年間、コロナ禍に伴い総会は出席会員を限定し、懇親会も開催できなかったが、ようやく以前のような形で開催ができるようになった。さて、世界的に猛威を振るったコロナ禍がようやく鎮静化し、日本でも3月には行動制限が全面解除され、人流も相当程度回復し、経済活動も活発になってきた。
冷凍食品業界では、原材料や電気ガスなどのエネルギーの価格高騰に加え、物流などのコストが上昇していることから価格改定を実施してきたが、コスト上昇を充分に吸収できていない状況にある。また、鶏卵の供給減少、工場での人手不足、物流業界の2024年問題などなど、製品の提供に対する不安が高まっている。そのほか、CO2やプラスチックの排出削減、フロン使用量削減など環境、SDGs や人権保護などに対処する社会的要請も強まっており、これらに対する適切な対応が求められている。
〈冷食日報2023年5月19日付〉