コンビニのおにぎりを巡る戦い セブン×八代目儀兵衛、ファミマ×どん兵衛・UFO、ローソンは「金しゃりおにぎり」刷新
新型コロナウイルスが5類に移行し、2023年は行楽需要に大きな期待が高まる。これらを受け、コンビニ大手3社はこの春、おにぎりの大型新商品を投入し、それぞれ記者発表会も行った。
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セブン-イレブン・ジャパンは京都の老舗米店「八代目儀兵衛」監修のブレンド米を使用。ファミリーマートは「春のおむすび祭り」と題し、日清食品「どん兵衛」「UFO」とのコラボ商品と高価格帯「ごちむすび」「SPAMむすび」の新商品。ローソンは12年ぶりにおにぎりの新製造機械を導入し、4方向から立体的に成型することで、手で握ったようなふっくらとした食感を実現し、高価格帯「金しゃりおにぎり」を刷新した。
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それぞれ試食し、どれも味が向上しているのは確かだった。個人的には「八代目儀兵衛」のコメのおいしさが群を抜いていると感じ、おにぎりが食べたいというより、このコメが食べたくて「八代目儀兵衛」を買うようになったが、改めて驚いたのは「安い」ということだ。税込129~162円。ファミマの「ごちむすび」「SPAMむすび」が228~288円、ローソンの「金しゃりおにぎり」が235~279円なのに比べると、この安さは何だ。
「八代目儀兵衛」はコメのおいしさをより味わえるよう、具材は「梅ひじき」「牛そぼろ」「ちりめん山椒」と極めてシンプルで海苔も無し。高級米は使わず、これまで使っていた70種類の既存のコメから「八代目儀兵衛」が食味して選び、よりおいしくなる配合を割り出してブレンドした。だから安いのだ。
一方でファミマとローソンは、いくら、黒毛和牛、鮭ハラミなど豪華な具材を使ったので、どうしても200円台になる。ローソンは高質で肉厚な紀州南高梅を使い、税込み235円の高価格帯初の梅おにぎりも発売。両社によると消費の二極化が進み、高価格帯は通常のおにぎりよりも伸長しているという。
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このところスーパー、コンビニに食品を買い行くと、あらゆるものが高くなったと実感するので、余計に「八代目儀兵衛」の安さが際立つ。しかも食べると、従来のおにぎりより明らかにおいしくなっていると実感するので、この満足感は「神」的だと言える。セブン-イレブンのおにぎりは、一部具材によって200円台のものもあるが、高価格帯のシリーズそのものがない。豪華な具材は使わず、シンプルな定番具材で味と質の向上に努め、あくまでも100円台というのがスタンス。これはファミマやローソンとは真逆で、インフレの中では、極めてしたたかな戦略だ。
大手3社に引き離されてしまったコンビニ4位のミニストップは昨秋、それまでの本体価格100円均一「いつものおにぎり」を終売し、本体価格110円、130円、140円、150円の価格ラインの「おにうま!」シリーズに改めた。ところが先日の決算説明会で昨秋のリニューアルでおにぎりの売り上げが大きく下落したことを公表した。食品や電気代の値上げが相次いでいた時期に100円均一は大きな武器になると期待していたのに、二極化のどちらにもならない価格帯にしたのだから、客が離れて当然。その後同社は海苔を使わない混ぜご飯タイプの100円おにぎりを追加し、100円と110円の価格ラインを棚の中央で訴求してリカバリーに努めている。