あづまフーズ「まるで魚」シリーズ第2弾を夏発売、ネギトロ・かにかま・エビを植物原料で再現
あづまフーズ(三重県三重郡)は、動物性不使用の「まるで魚」シリーズ第2弾として、プラントベースフード(PBF)のネギトロ、かにかま、エビの3品を夏頃から順次発売予定だ。
いずれも3月のフーデックスジャパンに参考出品したもので、試食でも好評だったが、納得のいく味を目指しさらなる改良を図った。かにかまについてはECサイトと業務用に加えて、スーパーでの販売も予定している。シリーズ第1弾は特に見た目が大きく注目されたが、第2弾については、「見た目のリアルさとともに味にもこだわった」(あづまフーズ)と強調する。
PBFのネギトロは、自社工場で製造している。本物のネギトロはマグロの骨の周りの身を使っているため、色に個体差がある。その個体差をリアルに再現するため、こんにゃく粉で赤・白2色に分けて作り、筋の部分の色味を表現した。
第1弾の「まるでマグロ」の原料もこんにゃく粉だが、「味が物足りない部分があった」(あづまフーズ)ことから、今回は味にもこだわった。具体的には、ネギトロの油分と塩味を表現することでおいしさにつなげたという。油分に関しては、さまざまな植物油を集めて試作する中で、「とある油が見つかり、魚っぽさを実現できた」(あづまフーズ)と振り返る。その植物油がアレルゲンフリーになることも決め手になったという。塩味に関しては、どの程度の塩分を加えるか試行錯誤した。
フーデックス出展時に行った試食でも、味についてはかなり高い評価だったというが、さらに味の改良を重ねている。ECサイトと業務用で販売を予定しており、価格帯は本物のネギトロよりも若干安価な設定となる見込みだ。
〈PBFかにかまはスーパーでも販売、PBFエビは大豆たん白など原料に〉
PBFのかにかまは、業務提携先の水産練製品メーカーに製造委託している。主な原料はエンドウ豆とデンプンだ。大豆たん白も試したが、エンドウ豆の方がよりかにかまに近い食感を表現できたという。すでに形は出来上がっており、さらなる味のブラッシュアップに取り組んでいる。9月頃の発売を目指しており、販路はECサイトや業務用に加えて、家庭用としてスーパーでの販売も予定している。
かにかまは、スーパーのチルド売場で複数種類並んでいるケースが多いが、「PBFは浸透していない」(あづまフーズ)。原料にはスケソウダラなどが使われるが、価格は高騰しているという。とはいえまだまだ十分購入できる状況で、消費者も魚を使っている方を好むと予想する。パッケージや容量、価格帯を詰めている段階だ。
PBFのエビは夏頃の発売を予定している。別の業務提携先に製造委託し、塩分や色を指定した上で、あづまフーズ好みに作ってもらっているという。主に大豆たん白とデンプン、こんにゃく粉が原料だ。ECサイトと業務用で販売する予定で、コブサラダなどの用途を想定している。
「まるで魚」シリーズ第1弾の「まるでマグロ」、「まるでイカ」、「まるでサーモン」の課題について、230gの柵で販売しており、中には大き過ぎて使い切れないといった声もあるという。繰り返し食べると、少し味がもの足りないという意見もあるようだ。スライスして販売することを含め、加工方法は日々検討しているという。
代替シーフード市場の可能性については、「動物性の食品を食べることができない人も世の中にはいるが、『まるで魚』シリーズで代替することができる。すぐに売上にはつながらなくても、そういったことを見据えて取り組んでいかなければと考えている。当社は水産加工品の販売をずっと手掛けてきた。魚介を食べられない人が食べてもおいしい商品の開発を目指したい」としている。
大手スーパーもSDGsの一環で水産資源を守る活動に力を入れ始めており、MEL(マリン・エコラベル・ジャパン)認証ラベルを表示し始めている。そういったサステナブルなシーフードの中の1つとして、代替シーフードが位置づけられていくことを期待する。
〈大豆油糧日報2023年6月12日付〉