冷凍弁当配達サービス「シェフボックス」導入広がる、ニーズに合わせた商品提供、飲食店の冷凍商品を販売する仕組みも検討/谷澤悠実CEOインタビュー

DELIPICKS「シェフボックス」豚ひき肉のキーマカレー
DELIPICKS「シェフボックス」豚ひき肉のキーマカレー

2020年7月に開始した冷凍弁当の配達サービス「シェフボックス(CHEFBOX)」。手掛けるのはDELIPICKS(デリピックス、横浜市青葉区)という会社で、ミシュランの星を獲得した店舗での調理経験を持つシェフが社員として商品開発に携わっている。

その味は小売店の関係者からも評価され、オフィス内にあるコンビニで導入が決まるなど、着実に販売を広げている。谷澤悠実CEOは、将来の事業の姿を「弁当や惣菜に加えて、より広い商品をそろえてマーケットプレイスのような形での展開を目指している」と話す。現状や今後の取り組みなどを聞いた。

DELIPICKS・谷澤悠実CEO
DELIPICKS・谷澤悠実CEO

--サービスを開始したきっかけは。

私たちは工場や飲食店を、利用されている方の好みに合った商品などをマッチングするシステムを構築し、事業を展開しています。私自身、タマゴと乳製品のアレルギーを持っているのですが、アレルギーフリーの商品はまだ少ないため、自分でこうした商品を扱うサービスを作るしかないと思ったのがきっかけのひとつです。冷凍宅配弁当のサービスを始めたのは2020年7月です。元々はオフィス向けのサービスを展開していましたが、新型コロナウイルスの影響で需要が無くなり、一般消費者向けのサービスにシフトしました。元々はチルドで商品を提供していましたが、市販向けに変えた際に冷凍での販売に切り替えています。

DELIPICKS「シェフボックス」ハンバーグポルチーニソース
DELIPICKS「シェフボックス」ハンバーグポルチーニソース

いろいろと試す中で、冷凍はチルドやレトルトよりも美味しい商品も多く、添加物を使わなくても状態を保てるのはメリットでした。冷凍市場そのものの拡大も追い風となり、着実にサービスは広がっています。EC での展開に加えて、オフィス内にあるコンビニでも採用が決まりました。最近では介護施設からの引き合いも増えています。

〈想定よりも幅広い利用者を獲得 介護施設からも引き合い〉

--伸長した要因は。

私たちはSNSやWEB広告を中心に訴求しており、そこから多くの方に入っていただけたことと、健康を気にされている方や、調理の負担を少しでも減らしたいと思う方からの支持を得られたことが伸長した要因だと考えています。このサービスでターゲットにしたのは30~40代でしたが、実際には20~50代まで幅広く活用してもらえました。最近では自炊をすることが手間だと考える人も少なくないため、そうした方から多く利用していただけています。

また、糖質など健康面に気を使ったメニューも多く出しており、近年増えている健康面を気にする方にアプローチできたのではないでしょうか。この健康面に配慮したメニューの展開もあって、介護施設からの引き合いも増えました。高齢の方でも美味しくて、おしゃれなものを食べたいと思う方は大勢います。実際、高齢の方にインタビューすると、介護食は味気なく、美味しいものを食べたいという声を多くいただきました。そうしたところにも届けられる商品だと思っています。

〈飲食店の冷凍商品販売を計画 さまざまなニーズに対応へ〉

--サービスで力を入れている点は。

一番は味です。このサービスの特徴として、ミシュランの星を獲得したレストランでの勤務経験を持つシェフを社員として招き、メニューの開発を行っています。これは、他にはない特徴だと思っています。実際、食べられた方の評判は良く、継続率も順調に推移しています。

また、私たちは自社工場を持たずに、工場それぞれが持つ強みを活かして商品を開発しています。ローストの強い工場など、得意とする商品は工場によって異なります。そのため、異なる強みを持つ工場と提携して商品を送り出しています。

また、サブスクリプションサービスなので、飽きさせないように商品の改廃は常に取り組んでいます。今は約150種類のメニューを扱っており、今後もメニューの改廃を進めながら、利用されている方にとって魅力的なサービスになればと思います。

--今後の施策は。

今後、飲食店の冷凍商品を販売することを計画しています。商品を作っても売り先がない店舗は多く、EC に出店しても大手と比べて発信力が弱いため埋もれてしまうことも少なくありません。そこで、当社で選定した商品を、マッチングシステムを活かして、利用されている方の好みと合った飲食店の商品を提案できるようにします。定期配送をしていない方でも注文できるようにするつもりです。

商品については、さまざまな栄養素に対応した商品開発を進められればと思います。健康に関するニーズは高まっているので、そこにアプローチした商品も提供したと考えています。こうした取り組みなどを進めて、将来的にはさまざまな商品を取り扱う食のプラットフォームを構築できればと思います。弁当や惣菜以外の商品も増やし、アレルギーを持っている方や糖質制限をしている方など、異なるニーズに合った商品を届けられるサービスにしていきたいと考えています。

〈冷食日報2023年6月21日付〉

媒体情報

冷食日報

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
冷凍食品メーカー、量販店、卸、外食・中食、輸入商社、物流会社、業界団体など
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