ヤヨイサンフーズ、人手不足対応で「どんぶり食堂」強化、「イートベジ」は初の魚肉代替品、業務用冷食で新商品など28品/2023年秋商品・リニューアル品
ヤヨイサンフーズは7月1日から、業務用冷凍食品の2023年秋新商品・リニューアル品合計28品を販売開始した(季節限定品など一部発売日が異なる)。
7月7日に、東京・芝大門の本社で新商品発表会を開いた。6月22日に新社長に就任した溝口真人社長が新商品について話した。
引き続き「価値の創造」、「感動と信頼の創出」という商品開発コンセプトの下、重点施策として、
〈1〉基幹カテゴリーの強化
〈2〉変化する市場への対応
〈3〉食資源への取り組み
〈4〉高齢者社会に向けた商品の拡充
――の4点を掲げ、商品を開発・投入する。
【〈1〉基幹カテゴリーの強化】
持続的な企業価値の向上を目指し、今秋はグラタンとどんぶりの具、2つのカテゴリーの強化に取り組んだ。
グラタンは簡便・即食という次代のニーズに対応したカテゴリーであり、同社は業務用冷凍食品業界で上位のシェアを持つ。中でも主力「デリグランデ」シリーズは2022年に20周年を迎えたロングセラー商品となっている。
今回は消費者ニーズに即した品質の見直しを実施。ベシャメルソースに北海道産発酵バターを使用し、アイテムの具材をイメージした味付け、商品ごとに特徴ある仕立てとした。
どんぶりの具は、人手不足が深刻化する中で簡便調理品として需要の高いカテゴリーとなっている。同社では今春、新シリーズ「どんぶり食堂」として豚肉商品3品を発売。三元豚使用や味付けを評価され、シリーズ累計12万食を売り上げ、好調なスタートを切った。
今秋は第2弾として「牛カルビ丼の具」「四川風麻婆茄子丼の具」の2品を発売。シリーズとしての提案を改めて強化し、売上拡大を図る。
【〈2〉変化する市場への対応】
中食惣菜・産業給食の両市場に向け、変化に対応した商品を発売する。コロナの「5類」移行などで、旅行やレジャーの再開、訪日外国人の増加など経済活動が回復。一方、コロナ禍で健康意識が高まり、日本政策金融公庫の消費者動向調査においても、食に関するキーワードとして「健康志向」が最も高くなっている。
これを受け、中食市場に向けて健康を訴求した豆腐惣菜商品「かつおだし香る!三陸産茎わかめの豆腐カツ50」「5種の具材入り豆腐竜田揚げ50」の2品を発売。
また、産業給食市場ではコロナ禍からの解放で出社勤務が再開し、市場の回復が見込まれる。ヤヨイサンフーズでは2021年から、産業給食向けに値ごろ感のある商品「Value Taste(VT)」シリーズを発売してきた。
今回は物価上昇が続く環境下でニーズが高まることを想定し、メニューでの使い勝手をテーマとした主菜用商品「VT 焼き鳥風メンチカツ」「VT バターチキンカレーコロッケ」「VT 旨辛麻婆フライ」の3品を発売する。
【〈3〉食資源への取り組み】
近年、気候変動や病害虫、ウイルスの発生などにより食資源を取り巻く環境が変化。国内でもサバやサンマ等の漁獲量の減少、鶏インフルエンザの猛威など、さまざまな食資源への影響が見られている。
植物由来原料をベースとしたプラントベースフード(PBF)はSDGsなど資源環境保護の観点からも注目され、近年では畜肉代替品のみならず魚肉代替品の開発も進められている。
同社では、2019年からPBFに取り組み、健康意識の高まりや食の多様性に対応するカテゴリーと位置づけ「イートベジ」シリーズとして大豆ミートを使用したハンバーグやメンチカツ、肉団子といった畜肉代替品を発売してきた。今回は持続可能な食の提供への取り組みの一環として、同シリーズで新たに魚肉代替品を開発、商品化し秋鮭をイメージした「イートベジ 大豆ミートのまるで!鮭カツ45」を発売。独自の技術では特許を出願している。
【〈4〉高齢者社会に向けた商品の拡充】
日本の高齢化が進み、2022年には65歳以上の高齢者の割合が29%を超えた。同社では、世代にかかわらずすべての人に食を楽しんでもらいたいという思いから、噛む力が弱くなった人に向けたやわらか食ブランド「ソフリ」を展開。おいしさはもとより安定した柔らかさ、見た目の再現性などで高く評価されている。
今回は栄養面でのニーズの高まりに対応し、栄養機能食品として同ブランド内の新シリーズ「エネケア」としてチーズケーキ風・メロンのムース2品を発売し、ラインアップの強化を行った。
〈冷食日報2023年7月11日付〉