代替シーフード拡大期待、ウニ・ウナギなど高級食材やフライタイプも、スーパーは持続可能な水産物販売
プラントベースフード(PBF)は大豆ミートなどの代替肉が市場拡大を続けているが、新たなカテゴリとして代替シーフードの存在感が高まっている。
鮭フレークなどの水産加工品には大豆たん白が配合されており、大豆と水産品との親和性は元々高い。すでに複数の代替肉メーカーが代替ツナを発売しており、最近ではウニやウナギといった高級食材を再現した商品も登場している。2023年に入ってからは、より食べやすいフライタイプの商品も目立ち始めている。
水産資源は将来的な枯渇が心配されており、令和4年度(2022年)水産白書によると、持続可能なレベルで漁獲されている世界の水産資源の割合は、2019年には65%まで低下し、35%が過剰利用だという。SDGs目標の14番では「海の豊かさを守ろう」が掲げられており、大手スーパーもMSC認証をはじめとした水産物の持続可能性が担保された商品の販売に取り組んでいる。こういった流れから、代替シーフードはさらなる拡大が期待される。
相模屋食料が2022年3月に発売した「うにのようなビヨンドとうふ」は、ウニ味の再現度の高さもあり、発売8カ月で販売数量は累計300万パックに達するヒット商品となった。PBFのウニでは不二製油がいち早く「ソイウニ」を開発している。
また、ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されており、ウナギの稚魚シラスウナギの不漁により価格高騰が続いている。水産物の販売を行うあづまフーズは2022年夏、おからを使ったPBFウナギを期間限定発売して好評だった。日清食品も「プラントベースうなぎ」の開発に成功し、5月に発表すると大きな注目を集めた。
〈PBFのネギトロ・かにかま・エビ・さつま揚げ・キャビアなど着々と商品化進む〉
2023年に入ってからは、フライタイプの商品が目立つ。日本ハムは3月、魚を使わずに魚のような風味とほぐれ感を再現した「ナチュミートフィッシュフライ」を発売した。同社の代替たん白の開発技術を活かし、約1年かけて開発したという。魚肉に近い食感や風味は、大豆や海藻由来成分などで再現した。
グローバルに植物性代替食品を展開しているオムニフーズは、日本市場に向けて、白身魚風フライやフィレ、スティック、カニの身風パティなどの新商品を投入する予定だ。大豆たん白とえんどう豆たん白で白身魚独特の食感を再現したという。
外食チェーンでもモスフードサービスが3月、「ソイシーバーガー~ソイのおさかな風フライ~」を期間限定で発売した。初の魚のPBF商品で、3種類の大豆たん白を主原料に、白身魚のような食感を目指した。
ヤヨイサンフーズは業務用PBF「イートベジ」シリーズで秋鮭をイメージした魚肉代替品「イートベジ大豆ミートのまるで!鮭カツ45」を新たに発売した。
代替シーフードの商品化は着々と進んでいる。あづまフーズはPBFの「まるで魚」シリーズ第2弾として、ネギトロ、かにかま、エビの3品を夏から秋にかけて発売する。ネギトロはこんにゃく粉と植物油を使い、かにかまはエンドウ豆とデンプンが主原料だ。エビは大豆たん白とデンプン、こんにゃく粉で再現した。
紀文食品はPBFさつま揚の開発をスタートさせた。魚肉練り製品で培ってきたたん白質加工研究の土台を生かし、大豆を用いて歯ごたえと口当たり、形をさつま揚げに近づけることに成功。6月から「マクアケ」で「SOY SATSUMA『大豆でつくった丸天シリーズ』」3品を発売した。
こんにゃくとおからを原料としたPBF「Deats(ディーツ)」を販売するディーツフードプランニングは、フィッシュフライを模した「ディーツカツフィッシュタイプ」をはじめ、現在は「ウニ風」や「うなぎ蒲焼風」、「キャビア風」も開発中だという。
水産資源の持続可能性については大手流通の意識も高い。セブン&アイグループでは2030年までにオリジナル商品で使用する食品原材料の50%を、50年に100%を持続可能性が担保された原材料にすることを定めているが、水産物でもMSCをはじめとした認証商品の販売に取り組んでいる。持続可能な観点から、代替シーフードが採用されていく可能性はある。
〈大豆油糧日報2023年7月12日付〉