飲料各社、若年層へのアプローチを本格化、商品やコミュニケーションに変化
清涼飲料市場は、2022年の生産量が2年連続で伸長した。そして、2023年上半期の販売数量も価格改定の影響があり前年比98%となったものの比較的順調に推移しているといえる。しかし、各社は課題としてユーザーの高齢化を挙げる。それは、販売のボリュームゾーンが40~50代で、徐々に年齢が高くなっていることだ。
特にコーヒーは缶を中心に50代以上のヘビーユーザーも多いため、若返りが必要になっていた。持続的な成長に向けては若年層のファン獲得が重要となるため、飲料各社は今年に入り、相次いで若者向けの製品やコミュニケーションを展開している。
コカ・コーラシステムは、今年3月にコーヒーブランド「ジョージア」を14年ぶりに刷新した。これまでターゲットだった30代以上の男性や働く人に加えて、将来的にユーザーとなる20代や女性を新たなターゲットに加えたことが新しい。商品は、より香りを高めた中味、シンプルなデザインにし、コミュニケーションはSNSを最大限活用する。
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サントリー食品インターナショナルの「ボス」は、3月に新商品の「ボス カフェイン ホワイトカフェ」「ボス カフェイン キャラメルカフェ」(各245g缶)を発売した。「缶コーヒーをカフェインの摂取源として“使う”若い世代に着目した」という意欲的な商品。1本あたりのカフェイン含有量は“ボス缶史上最大量”の200mgで注目を集めた。
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UCC上島珈琲は、3月に新商品の「UCC BLACK無糖 New Ground Fruity Blend」(185g缶)を発売した。フルーティーな味わいと、印象的な赤いパッケージが特徴のブラックコーヒー。ブランドの若返りを図れたとともに女性ユーザーが増えたという。
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茶系飲料でも若年層ユーザー獲得に向けた取り組みが進んでいる。伊藤園が、5月29日に発売した「お~いお茶 〇やか(まろやか)」は、若者の価値観や緑茶飲料に求めるニーズを分析して誕生した商品。4年前から千葉大学の学生らとともにプロジェクトを進めて商品化した。取り組みの中で、若者世代は日常の休息シーンで、水出しでいれた新茶のような「爽やかな香りとまろやかなあまみ」を求める傾向にあることを突き止めたという。
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アサヒ飲料は、4月4日から緑茶飲料の新商品「アサヒ 颯(そう)」(620ml/2LPET他)を発売し、好調な販売となっている。微発酵茶葉(萎凋緑茶)を一部使うことで、今までにない華やかな香りを楽しめる商品。広告タレントにプロバスケットボール選手の八村塁さんを起用し、若年層からの支持が広がっている。
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持続的な事業成長に向けては、現在の主力購買層だけでなく若年層ユーザーの獲得が必要だ。各社は若い世代に対する商品・コミュニケーションの取り組みを本格化している。