牛肉輸出量 2023年上半期は3759tで前年23.2%増、輸出額は22.2%増の258億円、国別輸出量はカンボジア7割増など
財務省の貿易統計によると、2023年上半期(1~6月)の牛肉輸出量は、2022年同期比23.2%増の3759t、輸出額は2022年同期比22.2%増の257億9093万円となった。
各国で脱コロナ社会に移り、レストラン需要が回復したことや、円安の影響などにより、前年同期に比べて大きく増加した。とくに台湾、香港などの東アジア、マレーシアといった東南アジア、アラブ首長国連邦などで輸出量の大幅な増加がみられ、昨年大幅に減少したカンボジアは7割も増加している。
品目別でみると、輸出のメインとなるロインの2023年輸出量はチルドで2022年同期比7.9%増、フローズンで2022年同期比40.1%増となった。かた・うで・もも、バラもチルドはそれぞれ24.5%増、27.3%増となった。フローズンもそれぞれ3割増と前年を上回っている。
国別でみると、台湾は42.0%増の682tとなり、すでに2023年6カ月で2019年の輸出実績を上回っている。関係筋によると、現地の技術者などが日本で研修を積むなどしてロイン以外の部位のマーケットも確立しつつあり、フルセットで輸出するケースが多いという。
実際に2018年の台湾向け輸出量(628t)に占めるロインの割合は31.2%だったが、2023年上半期は28.3%まで低下し、ロイン以外の需要が広がっていることを裏付けている。また、東南アジアに比べてチルドの物量網も整備されており、「ほぼ日本と同様のマーケットにある」(輸出事業者)と今後の成長性に期待を向けている。
一方、カンボジアへの輸出は73.0%増となった。月別でみると、2023年2月には2022年同月の約2.5倍の118t、3月は2022年同月の39.1%増の75t、4月には前年の6倍の104tを記録した。また、前年上期は輸出実績がなかったチルドの輸出が2月に27kg、3月に52kg輸出されている。
2月以降の輸出急増は、2023年1月に中国のゼロコロナ政策が終了したことが影響したとみられる。ただ、カンボジア向けと偽って申告し、香港に牛肉を輸出した不正輸出事件が摘発されたことを受け、これに関する報道が相次いだ6月は一気に25tまで減少している。
〈畜産日報2023年8月22日付〉