「ふくいポーク」販売が4年ぶりに復活、飼料に乳酸菌を添加、自然な免疫力の維持で独自の味わいに
4年ぶりに発売される福井県のブランド豚「ふくいポーク」が、2023年8月上旬から出荷され、福井県の精肉店を中心に販売が開始された。
販売復活を記念して、このほど福井市内でふくいポーク流通推進協議会(会長・時岡伸・(有)睦美ファーム代表)が、お披露目会を開き、新キャッチコピー「たくましさは、おいしさ。」とともに、新しいロゴマークも披露した。
「ふくいポーク」の販売は豚熱の発生で出荷が停止して以来、4年ぶりの復活となる。「ふくいポーク」の出荷は福井県内を中心に年間2,000頭を見込んでおり、今後生産頭数が増えれば、県外での販売も視野に入れているという。
「ふくいポーク」は、福井県で生まれ肥育された豚で、豚の自然な免疫力維持と徹底した衛生管理で、独自の味わいに仕上げており、〈1〉本来の健康力を引き出すエサ〈2〉安全安心を生む衛生管理体制〈3〉福井生まれの福井のブランド豚――という特徴を持つ。
〈1〉では、乳酸菌添加の飼料を使い、豚の腸内環境を整え、自然な免疫力を維持し、肉質の向上につなげている。〈2〉では、衛生管理区域の設置、野生動物の侵入対策や、家畜・作業者などの動線確認を徹底し、家畜への世話を全て記録に残し、バイオセキュリティの強化を行っている。「ふくいポーク」を生産する睦美ファームは、「HACCP認証農場」に登録されている。〈3〉では、「ふくいポーク」の味わいや希少性は、福井県内の地元レストランの可能性にもつながっているとしている。
福井県では、2019年8月に「豚熱」が発生し、飼育していた約690頭全頭が殺処分され、別の農場でも、高齢・体調不良、後継者不在を理由に営農を休止したため、「ふくいポーク」は2020年1月に生産を停止した。「ふくいポーク」の出荷再開には感染症対策が責務となるなか、「乳酸菌」が豚の自己免疫力の向上、肉質や臭みへの効果が期待されることが分かり、2023年1月から「ふくいポーク」の認定基準に「乳酸菌を添加した飼料を給与する」という内容が新たに追加された。
睦美ファームの時岡代表は、「幸いにもうちの養豚場から豚熱の発生はなかったものの、それ以降感染症対策には細心の注意を払っている。2022年、福井県農林水産部中山間農業・畜産課畜産振興グループより、『ふくいポーク』生産の打診を受けた。福井県のブランド豚を復活させ世の中に提供することに、畜産農家としての使命感のようなものを感じ『ふくいポーク』の生産に参画した。飼料に乳酸菌を添加した『ふくいポーク』は肉質も柔らかく、おいしく安心して食べていただける肉だ」とコメントしている。
〈畜産日報2023年9月1日付〉