マルハニチロ、出資するワッフル社通じ「LAUGHING TIGER」新ブランド展開、北米の冷凍食品事業でオーセンティックなアジア料理提供
マルハニチロが2022年3月から出資する米国企業「WaffleWaffle LLC」(米国ニュージャージー州、以下ワッフル社)は8月29日、同社の冷凍食品ブランド「LAUGHING TIGER」(ラッフィング タイガー)の新規展開を開始した。
マルハニチロは、ワッフル社を通じて北米地域における冷凍食品事業の拡大を目指していく。9月7日、マルハニチロの担当者らが記者団の取材に応じ、その概要などについて話した。
今回発売した「LAUGHING TIGER」ブランド新商品は▽Japanese Ramen Stir Fry(ガーリック焼きそば) ▽Thai Green CurryChicken(グリーンカレー)▽Korean BulgogiBeef(プルコギ)▽Thai Drunken Noodles(ドランケンヌードル)――の4品。
容量はいずれも595g(2~3人前)と、「個食」ではなく家族向けの「マルチサーブ」型とした。4品ともフライパン調理により約10分で調理できる。また、いずれも主食・野菜・肉・ソースの組み合わせとなっており、主食に焼きそばは中華麺、グリーンカレー、プルコギは白米、ドランケンヌードルは米粉麺を採用している。
当初の販売ルートはウォルマート全店舗の4割強の2千数百店舗で、想定価格は9米ドル強(現在の為替レートで1,300円台半ば)だという。他の販売ルートでも既に商談に入っているものがあり、順次拡大を計画する。
新ブランドについて説明したマルハニチロ加工食品ユニットの下川健ユニット企画担当課長役および、オンラインで参加した、ワッフル社に出向中の上田康平R&D Specialistによれば、「LAUGHING TIGER」ブランドのポジションとして、米国で一般的な「中華料理のテイクアウト料理」(アメリカンチャイニーズ)ではなく、アジア地域全体の多様で豊かな料理の伝統を尊重し、本物の味、手軽さ、高品質の食材の融合を提供する「オーセンティック・パン‐アジアン」ミールを志向するものだという。
コンセプト(ブランドの柱)は、
▽妥協なく、且つ、手軽に=いつでも手元に、簡単な夕食、フライパン調理、掃除も簡単
▽豊富な品揃え=トレンドを捉えたPan‐Asian Meals
▽本格志向=お店の味を再現した本物に忠実なレシピ
▽品位=価値のあるプレミアム品質
――の4つを掲げる。
ターゲット顧客は主にミレニアル世代(1981年~1997年生まれ)の主婦層(家族)とし、次に食の探求に興味がある人、アーリーアダプター、冷凍食品愛好家を挙げる。
そうした人たちに向けて、デジタルを活用したプロモーションやコミュニケーション、デジタルクーポンの配布などのマーケティング活動も幅広く行うという。
開発背景になる市場環境について、アメリカでのアジアンフードは19世紀、中国移民より広がり、中華料理が現地化される中で「アメリカンチャイニーズ」としてテイクアウトレストランの普及とともにポピュラーになったという。
その後20世紀後半から寿司、和食の流行を経て、現在はラーメンが大流行するほか、ASEANなどアジア諸国の多国籍料理が、食への冒険心・探究心の強いミレニアル/Z世代の心をつかみ、大都市圏を中心に急速に広がっているという。
北米冷食業界では20数年前からアジアンフードカテゴリーが登場し、2010年代前半以降、日本を含むアジアの大手食品メーカーがこぞって現地資本のM&Aなどでアジアン冷食業界に参入。市場も拡大を続け、小売店の売場の冷食棚は一定規模でアジアン冷食が占める状況で、同社では現在のアジアン冷食市場規模は2,000~3,000億円規模だと推計する。
そうした中、後発であるワッフル社は従来の「アメリカンチャイニーズ」とは差別化したブランドとして今回の「LAUGHING TIGER」ブランドの立ち上げに至ったとしている。
なお、ワッフル社は2009年にベルギーワッフルの販売から創業。これまで北米の家庭用冷凍食品市場でオリジナルブランドである「HappiFoodi」の名称で、ボウルミール(丼メニュー)、ソテー野菜、ピザなど幅広いカテゴリーの商品を展開してきたほか、デジタルメディア企業とのパートナーシップによる新ブランド立ち上げなども行ってきた。マルハニチロは2022年3月、ワッフル社に出資するとともに、人材も投入し、協業により北米による事業拡大を目指してきていた。
〈冷食日報2023年9月11日付〉