日食協とメーカーが卸間の物流で荷待ち・荷役時間削減目指す、持続可能な物流構築に向けてガイドライン案を策定

一般社団法人日本加工食品卸協会(日食協)と食品メーカー団体である食品物流未来推進会議(SBM=参加企業▽味の素▽カゴメ▽キッコーマン食品▽キユーピー▽日清オイリオ▽日清製粉ウェルナ▽ハウス▽ミツカン――)はこのほど、メーカー/卸間の物流における協同ワークとして、荷待ち・荷役作業削減に向けた取組みガイドライン案を策定した。2024年4月から、トラックドライバーの労働拘束時間の削減が迫られる物流の「2024年問題」を控え、持続可能な加工食品物流構築を目指していく。

日食協が主催し、食品関連の展示会「FOOD展」の一環として開催している「フードディストリビューション」の中で21日に開催されたパネルディスカッションで、そのガイドライン案の一端が初めて披露された。間もなく、正式に発表される。

物流の「2024年問題」を目前に控える中、政府が2023年6月2日、「物流改革に向けた政策パッケージを決定。さらにその政策パッケージに基づく施策の一環として、業界・分野別の「自主行動計画」を同年内めどに作成・公表することとされており、その指針として発荷主事業者・着荷主事業者・物流事業者が早急に取り組むべき事項をまとめた「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」も発出されている。

一方、加工食品流通業界においては、日食協およびSBM、さらに食品スーパー各団体を加えた製・配・販3層が連携し、2022年4月から、持続可能な物流の構築に向けた3層の新たな取り組みとしてFSP(フードサプライチェーン・サステナビリティプロジェクト)会議を発足させ、納品リードタイム延長や、小売業への納入期限延長(いわゆる賞味期限の3分の2を残す「3分の1ルール」から2分の1残しへの緩和)などについての議論・取組みが進められてきていた。

今回披露されたガイドライン案は、持続可能な加工食品物流構築に向けて、メーカー/卸間におけるトラックドライバーの荷待ち・荷役時間削減に向けて定めるもの。適用範囲はメーカー拠点(発荷主)から、卸拠点・小売業専用DC(着荷主)への納品までとする。そもそも長時間の荷待ち・荷役作業発生の要因としては▽アイテム数の増加▽着荷主物流センターの入荷バースや入荷作業場の狭溢化▽バラ降ろしによる入荷バースの専有▽先着順による荷受け――などが挙げられ、その緩和を目指す。なお、政府のガイドラインでも荷待ち・荷役作業にかかる時間を計2時間以内、時期目標として1時間以内という目標が示されている。

「長時間の荷待ち」の削減に向けては〈1〉入荷受付予約システムの利用促進〈2〉ASN(事前出荷案内情報)の普及〈3〉入荷時間枠の見直し〈4〉車両の相互利用〈5〉先行在庫の検討〈6〉発注頻度の低減〈7〉マザーセンター化の検討――といった施策により実現を目指していく。

一方、「荷役作業」の削減に向けては、「バラ積みバラ卸」からパレット納品による荷降ろしの推進に加え、そもそもドライバーによる「フォークリフト作業の削減」にも取り組むほか、商品の整列作業や、ラベル貼付け等付帯作業の削減・禁止なども目指していく。

そして、今後はこのガイドラインの周知・展開を図るほか、物流センター視察による現場の把握、ASN活用による検品レス実現に向けた取り組みの加速などを進めていくという。なお、パネルディスカッションはコーディネーターとして日食協の時岡肯平専務理事、パネリストとしてメーカーからキユーピーの前田賢司執行役員ロジスティクス本部本部長、卸から三菱食品の小谷光司執行役員SCM統括統括オフィス室長、小売業からライフコーポレーションの渋谷剛首都圏物流部部長が登壇し、「持続可能な物流に向けて~製配販3層の取組み~」と題して開催された。

最後、時岡専務は「2024年問題は持続可能な物流の構築を実現する1つの通過点に過ぎず、その達成には今後も物流事業者を含めたサプライチェーン間のさらなる協同ワークが不可欠」だと締めくくった。

〈冷食日報2023年9月22 日付〉

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