良品計画、旗艦店「無印良品 銀座」を全面リニューアル、「食」中心に銀座を再活性化、ダイナーはイタリアンに刷新/改装店レポート
良品計画(東京都豊島区)は9月29日、東京都心の旗艦店「無印良品 銀座」(東京都中央区)を、2019年4月4日の開店以来初めて、全面リニューアルオープンした。
立地は東京メトロ銀座駅から徒歩3分、営業時間は午前11時から午後9時。店舗は地下1階から地上6階を展開する。地下1階はレストラン「MUJI Diner」、地上1階は食品売場、2階、3階は衣服、4階はキッチン用品の他、文具や掃除・選択用具、子供服など、5階はリビングルームやベッドルーム用品、収納用品、6階は本やカフェなど、多数のサービスを取りそろえる。
6階から上にはMUJI HOTEL GINZAを構える。6階にはホテルのフロントと和食レストランを設置している。
〈リニューアルは「食」に重点を置いて見直し、イタリアに学んだ商品を拡充〉
コロナ禍から復活した銀座に、多くの人が再び集まってくることを目指し、衣食住の中で最も生活の基本となる「食」に重点を置いて、品揃えやサービスを見直した。
「無印良品 銀座」店は良品計画が重視する世界中の実際の生活から学んで、商品やサービスに生かすという視点から、「食から世界を眺めよう」をリニューアルのコンセプトにした。まず第1弾として、南北に長い日本と似た国土を持つイタリアに学んだ食に関する商品を、地下1階のレストラン「MUJIダイナー」、地上1階食品売場、4階キッチン用品売場で拡充した。
1階食品売場では9月に発売したパスタ・パスタソースのオリジナル商品に加え、同社が独自にセレクトした生パスタ、生ハム、ナチュラルチーズなどのチルド商品を加えたイタリアン食材コーナーを設けた。地下1階にはソムリエを配置したイタリアや国産を中心にしたワイン売場も新設した。
1階「MUJIベーカリー」は改装前はロールパンを中心に食事パン、カレーパン、あんぱんなど幅広い品揃えだったが全面的に見直し、イタリアのストリートフード「フォカッチャサンド」、全粒粉入りクロワッサン、ブールドネージュに品揃えを絞り込んだ。
地下1階「MUJIダイナー」の改装前は、手軽な飲食店が少なく、コンビニエンスストアも無い銀座の食事情に対応し、原材料や製法にこだわった和洋のメニューを、定食を中心に手頃な価格で提供していた。リニューアルにあたって本格レストランにコンセプトを替え、当面はイタリアの伝統料理などを、税込み2200円からのランチメニュー、5500円からディナーメニューを中心に提供していく。将来は定期的にコンセプトを入れ替え、世界各国の郷土料理の提供などを目指す。
同施設は地下1階~地上5階が店舗、6~10階が良品計画直営の「MUJIホテル」。ホテル併設の6階に和食店「WA」があり、海外メニューの「MUJIダイナー」とは棲み分けを図る。
和食店「WA」とホテルのフロントがある6階には、「銀座の特別感」を体験できる場所として、「コーヒー&サロン」を設けた。米国製の焙煎機を導入し、自家焙煎コーヒーが飲めるほか、「津貫」「駒ヶ岳」などの国産のシングルモルトウイスキー、ピタサンドなどの軽食も提供する。自家焙煎コーヒーとの銀座銘菓のペアリングも提案し、オープンから当面は「銀座松﨑煎餅」の瓦煎餅と自家焙煎コーヒーをセットで提供する。
6階の焙煎機で焙煎したコーヒー豆は1階食品売り場で量り売りする。12種類の自家焙煎コーヒー豆を揃え、同店オリジナルの「銀座ブレンド」も用意した。
1階食品売場は、産地直送の農産物の販売は継続するが、日替わり弁当、惣菜、おにぎりの販売は中止した。他方で改装前は壁面のリーチインケースのみだった冷凍食品は、新たに平オープンケースも導入して売場を買拡大した。
東京・銀座エリアでは、10月17日に「無印良品 銀座」のすぐ近隣の商業施設「マロニエゲート銀座2」地下1階~2階にディスカウント系食品スーパー「オーケー銀座店」も開業した。松屋、三越などのデパ地下からオーケー、無印良品とバラエティ豊かな食物販が揃う町になる。成川卓也無印良品 銀座総店長は、「競合店が増えるのではなく、それぞれ特徴を持った食物販店が増えることは、町全体の魅力が高まること」と期待を寄せた。