関西味噌生販協議会「卸のコストも非常に上がっている」、2024年は物流費などコストアップ
関西味噌生販協議会はこのほど総会を開催した。
総会に先立ち開かれた講演会では、「食品の裏側」「世界一美味しい『プロの手抜き和食』安部ごはん」などの著書で知られる食品添加物評論家の安部司氏が「無添加の問題点と表示規約について」をテーマに講演し、2024年3月末に移行猶予期間の期限を迎える消費者庁の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の課題を具体的な事例を挙げて解説した。
総会で、土屋勇蔵会長(ジャポニックス社長)があいさつし、「みそ業界の数字は、(全国味噌の統計で)脱退した1社分を考慮すると、7月までの累計で、好調だった2022年に比べて97.64%とあまり良くない。値上げが続いたことも背景にある。卸のコストも非常に上がっている。2024年は物流費など確実にコストアップする。その中でメーカーとともに新たにみその価値を見出せる体制を作り上げられればと思う。期中にPR委員長に返り咲いた。消費拡大にはPRも必要であり、力を入れたい」と述べた。
〈手間暇かかっているみその価値を上げていく、PR活動に一層注力〉
土屋会長は続けて、「(みその)値上げは1回目、2回目もあれば、3回目を考えているところもある。受け入れられている一方で相見積もりの話も出てきている。一方、最近感じているのは、みそは安いということ。手間暇かかっているものを安く売っていいのか。みその価値を皆さんと上げていき、良いものだから使うという流れに乗せられれば」と強調した。
今年度はPR活動に一層力を入れる。幼稚園やイベントでの食育活動に加えて、みそソムリエ認定活動の実施を予定している。また、今年6月に開設した関西味噌PR委員会のInstagramでの情報発信を行う。総会ではそのほか、価格改定の進捗など市場の状況や無添加表示対応などについて、意見を交わした。
来ひんあいさつで、中田教一マルマン会長は「みそ業界は1~8月で全国3.4%減、脱退した1社分を差し引くと2.7~2.8%減と見られる。長野も1.0%減となった。酷暑の影響と見ている。みその消費動向は、即席、だし入りが年々増えている。反面、醸造みそが減ってきている」と述べた。
また、醸造みその代表格である無添加みそに大きな影響を与える無添加表示問題を考察した上で、「みそにはいろんなタイプがあるが、だし入りではなく無添加みそが実はナンバーワン(を占める)。中堅・中小はこの分野に活路を見出すしかない。くじけないで無添加みその製造・販売に力を入れてほしい」と呼びかけた。
〈大豆油糧日報2023年10月19日付〉