「ボンカレー」コロナ後も伸長続く、ギネス訴求と品揃え強化で/大塚食品
大塚食品の「ボンカレー」が、コロナ後も売り上げを伸ばしている。2023年の販売実績は1~11月累計で、「ボンカレーゴールド」「ボンカレーネオ」ともに、数量・金額ともに前年実績を上回り、特に金額ベースでは2ケタ成長となった。1968年2月の発売から今年で55周年を迎えたが、いまだに成長を続けている。
新型コロナが5月に5類に移行したことで街に人流が戻り、内食機会が減ることが予想されて、レトルト食品市場は前年より低い実績になると考えられていた。そのため、同社にとっても予想以上の好調な販売になったという。
好調要因は、世界最長寿のカレーとしてギネス記録となりメディア露出が増えたことや、定番品と異なる味わいの新商品を4品投入したことで、顧客に自社製品の中で買い回りしてもらえたことが大きいという。
大塚食品は2023年1月、世界初の市販用レトルト食品の「ボンカレー」が、世界最長寿のレトルトカレーブランドとして、ギネスワールドレコーズリミテッドによるギネス世界記録に認定されたと発表した。そこで注目が集まったことで生活者に情報が届き、「ボンカレー」の販売好調につながったという。
商品では、「ボンカレーゴールド」「ボンカレーネオ」シリーズで6年ぶりの新商品を7月に発売した。「ボンカレーゴールド うま辛にんにく 辛口」、「ボンカレーネオ 焦がしにんにく やみつきスパイシー 辛口」、「ボンカレーネオ スパイシー 後引く辛さ 大辛」の3品だ。
食事に刺激的な味や香りを求める需要が拡大し、激辛メニューやニンニクの商品が増加傾向にあることから開発したという。また、8月末には、「ボンカレーゴールド 芳醇デミカレー 至福の甘口」を発売した。
定番の味である、甘口、中辛、辛口などとは異なり、まったく新しい味わいを提案したことにより、カニバリが起こらず、顧客が「ボンカレー」シリーズの中で買い回りをしてくれたことが、好調要因として大きかったという。
また、生活者のマインドの変化も追い風になっている。コロナ禍で内食が増え、レトルト食品を買う人が増加した。同社は、その経験からレトルト食品の利便性やおいしさを多くの人に再認識してもらえたのではないかとする。
ただ、「ボンカレー」は、まだのびしろがあるという。それは電子レンジ調理に対応していることを、伝えきれていないことだ。2003年から「ボンカレー」は、フタをあけて箱ごとレンジ調理を可能にしたが、まだ生活者に浸透しきれていない。その利便性を伝えることでユーザーをさらに拡大する考えだ。
時短で簡便な調理の訴求は、“タイパ”(時間対効果)を求める若年層にも受け入れられそうだ。半世紀を超えるロングセラー製品が成長を続けているのは、現代のニーズに応えて変化し続けていることが背景にありそうだ。