【2024年新春みそ総論】2023年1~11月みそ出荷量は前年比2.7%減の32.7万t、値上げの影響受け
みそ業界も他の食品業界と同様に原材料の高騰により、値上げを余儀なくされ、販売数量を減らす傾向となっている。
2024年は大豆だけでなく、加工用米の高騰も予測されており、大手みそメーカーも値上げを発表。中堅メーカーがこの流れに乗っていけるかも注目されるところだ。大手みそメーカーではみそ以外の収益を確保できる商品の開発に力を入れており、中堅メーカーも事業拡大を図れるかが大きな課題となっている。
全国味噌工業協同組合連合会(全味)によれば、2023年1月から11月までのみその出荷量は、前年比2.7%減の32万7,363tとなった。年末のみその販売動向は各社良好とのことだったが、22年度の出荷量を下回る可能性は高い。減少要因は、原材料高騰による値上げの影響が販売数量の低下を招いている。
大豆に関しては、海外産のプレミアムが上昇しており、円安も重なって、更なる高騰が予想される。国内産も需要の高まりに対し、供給量が十分でないことから、引き続き、原料の確保が難しくなってくるだろう。米に関しては、みその原料となる加工用米の数量が少ないことから、価格が上がると見られており、大豆と米の高騰により、更なる値上げを考えざるを得ない状況となっているメーカーも少なくない。
〈大手3社が値上げを発表、中堅は業務用の販売に期待〉
大手のマルコメは2024年3月1日納品分からマルコメ、かねさの顆粒みその値上げを実施する。また、ハナマルキでは4月1日から製品の一部の出荷価格を値上げ、ひかり味噌も2月1日から製品により約3~16%の出荷価格を改定すると発表している。これに伴い、中堅メーカーもみその値上げを考えるところも出てきており、いずれにしても、販売数量の低下を招く要因になることは間違いないと考えられる。
国産大豆、国産米の使用で付加価値を打ち出している中堅メーカーは、今後の販売に危機感を募らせている。ただ、新型コロナの感染による規制が緩和されたことで、外出が増え、インバウントによる収益も急速に上向いていることから、外食産業はやや息を吹き返しており、みそにおいても業務用の販売が上向きつつあるという声も聞かれる。
マルコメの2024年春夏向けの新商品では、販売好調の「つぶみそ」に片手で料理に使いやすいボトルタイプを追加したほか、パッケージデザインも、ポップなイメージに変更して、拡売を狙う。
マルコメでは生みそ、液みそ、顆粒みその3タイプの形状を持つことにより、みそを和洋中のあらゆる料理に使用可能であることを提案でき、全体的なみその販売数量の向上も期待できる。さらに同社では、植物性ミルクの新ジャンル「米糀ミルク」を新発売する。豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクといった大きな市場に参戦することで、今後の収益の柱に育てたい考えだ。すでに販売している「糀甘酒」も好調で、飲料という括りでの収益拡大に大きな期待が寄せられている。
ハナマルキでもすぐ旨カップシリーズから、即席オートミールを3品新発売する。オートミール市場も3年前の約6倍に市場が急成長しており、新しい分野へのアプローチを試みることで、収益の向上を試みている。
〈大豆油糧日報2024年2月6日付〉