「フードテックワン」設立、参画企業の知見を集結し、代替食品の開発などを進める
〈双日、双日食料、ミートワン、ロイヤル、丸大食品など12社が参画〉
双日は22日、植物由来の代替食品の開発やプロモーション、マーケティングを行う新会社(株)フードテックワン(本社:東京都港区)を設立したと発表した。双日や双日食料、ミートワンなど、素材調達や加工食品の開発・製造、食材卸、外食チェーン運営など食品関連企業12社が参画する。各社の知見や技術などを集結し、新技術の開発や参画企業の共創、あるいは開発の競争を行い、競争力のある価格とおいしさを実現した代替食品を供給していく。品質や価格、消費者の認知度など、代替食品をめぐる課題をともに解決することで、市場の普及・定着、そして拡大を図っていく方針だ。初代社長には、双日リテール・コンシューマーサービス本部リテール事業第二部の池本俊紀副部長が就任した。
22日に東京都千代田区の双日本社で設立発表会が開かれ、参画企業の代表者が参集した。
発表会で池本社長は、新会社の設立の背景として、「世界的に代替肉市場は着実に伸びているものの、日本では当初想定されたほどマーケットが伸びていない。我々双日グループが単独で事業を進めるよりも、各分野で知見や技術のある企業と一緒に取り組んでいくことで代替食品を取り巻く課題を解決していきたいと考えた。我々の思いをここに参画していただいた企業に伝えて、共感していただいた。今後は植物由来の代替食品を、植物肉だけでなく、代替乳を含めて共同開発を進め、早期に商品化を目指していく」と説明した。そのうえで、「参画企業の知見を合わせて、消費者のニーズをしっかりとくみ取り、おいしく、安全・安心な代替食品を供給することで、マーケットを広げていく。参画企業の成長とともに将来的にはスタートアップのサポートもすることで、お互いに事業を拡大していきたい」と今後の展望を語った。
新会社の設立日は2023年12月8日。双日と双日食料が株式の67%以上、残る10社で33%を保有する(出資比率は非開示)。上記2社のほか、ミートワン、ロイヤル、丸大食品、松屋フーズ、ADEKA、エフ・リンク・コーポレーション、JALUX、昭和産業、デリカフーズ、マリンフーズが参画する。主な活動内容として、代替食品の開発をはじめ、畜肉生産の副産物を活用したバイオ燃料、DXなどの新技術の発掘・オープンイノベーションの推進のほか、素材・製品・メニューの共同開発、産学連携の推進、原料・資材の安定調達支援などを担っていく。
池本社長によると、すでに1月末に参画企業による第1回目の協議会が開かれ、これから目指す方向性や各社が抱える課題などを共有する取組みを始めたという。事前アンケートなどを取りまとめたうえで、4月から5月に第2回目の協議会を開く方向だ。池本社長は「すでに参画企業のなかには代替肉を使用したハンバーグや代替乳製品のチーズ、海苔巻きの巻き芯、スープなどを販売しており、それら商品の改良から着手し、一緒になって開発していきたい」とコメントしている。
フードテックワンの小泉豊取締役(双日食料社長)は、双日食料が新会社の運営のサポートを行っていくと説明、「双日食料としては、グループのミートワンを通じて得た、他社とのアライアンスグループを運営する経験や、植物肉『NIKUVEGE』の開発・販売の知見を生かしていく。ほかの参画企業と連携しながら代替食品をめぐる課題を解決していきたい」「双日食料は原料調達面でも強みがあり、代替食品をめぐって出口(販売面)の部分だけでなく、入口の分野でも協力していきたい」と語っている。
ロイヤルの藤田社長は「ロイヤルグループの各業態で販売する商品の価値を引き上げるために、フードテックワンの参画企業とともに協業していく。当社もセントラルキッチンの機能を有しており、BtoCの商品も販売している。製造や販売面でもさまざまな協力が可能だと考えている」と述べた。
会場に出席した丸大食品の福島成樹常務取締役食肉事業部長は、「当社も長くプラントベース食品を展開しているが、同時にさまざまな課題も経験している。参画企業で連携して幅広く情報を集めることで、ともに課題を解決していきたい」と期待感を示している。
〈畜産日報2024年2月26日付〉