ニチワ電機・西氏、早朝出勤・残業を削減するニュークックチルシステムを「フード&ケータリングショー」のセミナーで解説
ニチワ電機(株)は2月16日、東京ビッグサイトで開かれたフード・ケータリングショーで「厨房の早朝出勤・残業を大幅削減!新調理システムとニュークックチルシステム」をテーマにセミナーを行った。専務取締役の西耕平氏は、病院・介護施設、外食全般の経営層、管理栄養士、調理師ら約200名に、深刻な人手不足に対応するための厨房改革とそれを実現するニュークックチルシステムのメリットを紹介した。
西氏は、「厨房には、人、時間、電気、ガス、炭、水、食材、調味料、食油、洗剤、消毒液の11種類の消費がある。これらのほとんどは調理における温度と時間によって消費されるので、同じ温度帯の調理ならば同時にできないか、あるいは、人がいないからこそ調理工程を前倒しして計画調理ができないか、完全調理済食品を導入した方がいいのではないかといった発想が不可欠になる。深刻な人手不足の時代だからこそ、鍋・釜からスチームコンベクションオーブン、そしてスチコン式の再加熱機器を加えて、生産性を向上しなくてはいけない。新調理システムにより温度と時間の管理をしっかりと行い、厨房内作業の集約と自動化を採用しなくてはこれからの人手不足の事態を乗り越えられない」と警鐘を鳴らした。
西氏は【図】を示し、機器の導入によって、いかに加熱調理が効率化でき、省スペース・省エネ・省人化を図れるかを説明した。
古くより使われて来た鍋・釜調理では、10種類の温度帯の加熱調理を管理しなくてはならず、それぞれに人手が必要だが、スチームコンベクションオーブンだと、焼く、炒める/揚げる、煮る、蒸す/湯がくと4種類の温度帯にまとめて同時調理が可能。さらに、再加熱カートやリヒートウォーマーキャビネットなどの再加熱調理機器を使いニュークックチルシステムを導入すれば、温度帯を1種類にまとめることができ、さらなる厨房作業の省人化が実現できるという。
西氏は「病院・高齢者施設、ホテル旅館では、朝や土日は特に人が集まらずお困りの施設が多いだろう。ニュークックチルシステムを導入して翌日の朝食は前日の夕刻に盛り付けて、翌朝まで冷蔵保存され、朝食8時提供とすると、冷蔵から全自動で7時前には再加熱を開始し8時前には再加熱が終了するので、朝の出勤は7時平均が実現」と早朝出勤を削減するメリットを説明した。「このような仕組みの導入施設が増えると、早朝5時出勤の現場ではさらに人が集まらなくなる。これが、人手不足がさらに深刻になる理由だ。平成時代では、スチームコンベクションオーブンや計画調理された完全調理済食品を導入し都度の盛付で対応できたが、これからは日勤時間帯内での計画的盛り付けを実施する必要性がある。ポイントは、計画的盛り付けと再加熱によるニュークックチルシステムである」と語った。
病院・高齢者施設の省人化に貢献するニュークックチルシステム対応機器として紹介したのが、スチコン式再加熱カートとスチコン式リヒートウォーマーキャビネットである。両機器の特徴は次の3点。1つ目は再加熱自動予約運転。1週間分の朝食・昼食・夕食の自動運転が可能である。2つ目はAI自動補正機能。AIが過加熱や未加熱を防ぎ、しっとりとした美味しい再加熱を実現する。ごはん、パン、麺、目玉焼きなど再加熱が難しい食品まで研究開発し誕生したという。3つ目は自動記録機能。冷蔵から再加熱から保温まで各工程の温度帯を自動記録するのでHACCP運用上にも貢献する。
西氏は、200床規模厨房施設において、〈1〉クックサーブ(加熱調理後すぐに提供する調理方式)〈2〉クックチル(加熱調理した料理を冷蔵保存して、食事提供のタイミングで再加熱後都度盛付ける方式)〈3〉ニュークックチル(加熱調理した料理を計画的盛付け後、冷蔵保管し提供のタイミングで再加熱する方式)のパターン別コスト比較を示し、〈1〉から〈2〉、〈2〉から〈3〉と進むにつれて、大幅に作業時間が削減でき、厨房運用の省人化が実現できることを分かりやすく解説した。
その上で「今までの医療・福祉の給食部門の労働環境は他産業に比べて過酷である。この状況を変えなくてはいけない。ニュークックチルシステムは労働条件改善に貢献できる仕組みである。栄養部門の働き方改革が可能になり、早朝出勤を無くし、平均残業時間の軽減や有給消化率のアップ、離職率の低減につながる。また、温度と時間の管理で調理作業を集約すれば、水道・光熱費が減り、省スペース・省人化も図れて、まさに持続可能な環境が生まれる。未曾有の人手不足の時代に生き残るためにニュークックチルシステムで厨房の再構築を検討して欲しい」と呼びかけた。