ネスレ日本が“座りすぎ問題”とブレイク(中断または休憩)の重要性を発信 、課題解決へ専門家監修の新コンテンツをWEBサイトで無料公開、“コーヒーとチョコレートの会社”が取り組む理由とは
ネスレ日本は、日本人の健康課題のひとつ「座りすぎ問題」と、ブレイク(中断または休憩)の重要性を消費者に広く伝えるため、4月10日から自社のWEBサイトで新コンテンツ「座りすぎ問題とブレイク」を無料公開した。「座りすぎ問題」に取り組む専門家らは、「30分に一度、少し動きましょう。立ち上がるのが難しい場合は、座ったままでもできるエクササイズがおすすめ」と呼び掛けている。
日本人は、世界で最も座っている時間が長く、国民健康・栄養調査によると、1日8時間以上座っている成人の割合が、男性38%、女性33%にのぼるという。座りすぎについて、早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授は、「座りすぎの明確な定義はないが、1日8時間程度を超えると、さまざまな健康リスクが高まる」としている。
ネスレ日本がWEBで公開した「座りすぎ問題とブレイク」は、座位行動(目が覚めている状態で座ったり、横になっている時間のこと)に関する専門家である岡教授が監修し、「座りすぎ問題」についてビジュアルを交えた解説や、その対策としての“ブレイク”を生活に取り入れる具体的なアドバイスなどを掲載している。
そして、座りすぎを減らす一番の方法として、「30分ごとに3分程度立ち上がり、少し動く、“+ブレイク”をとり入れること」だと紹介している。今後も、10年ぶりに改訂された厚労省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の解説や動画など、「座りすぎ問題とブレイク」に関する情報を発信する予定という。
ネスレ日本は同日、「オフィスワーカーのためのブレイク革命」と題したプレスセミナーを開催し、岡教授のほか、東北大学大学院の門間陽樹准教授が登壇し、“座りすぎ”の問題点や具体的な対策を紹介した。門間准教授は、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」のポイントを次のように話した。
「有酸素性の身体活動や運動については改訂前から変化していない。これは、歩行又はそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8000歩以上)、そして息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上とするというもの。個人差を踏まえ、強度や量を調整し、今よりも少しでも多く身体を動かすことが示されている」。
一方、ガイドラインに初めて盛り込まれたものとして、「座位行動に対する注意喚起」と「健康づくりを目的とした筋力トレーニングの実施」があるとした。そして、門間准教授は、オフィスでも簡単にできる筋トレとして、座りながらデスクでできるニーアップ(両足膝上げ)と、ブレイクついでに立って行うカーフレイズ(かかと上げ)を紹介した。
岡教授は、「次世代の健康経営推進のための一丁目一番地~オフィスワーカーが元気で健康になるための座りすぎ対策~」と題し、座りすぎの健康・労働影響を減らすポイントについて、次のように語った。「ブレイクすることが重要だ。同じ姿勢を長時間続けず、動く“頻度”の多さが重要になる。できるだけ頻繁に姿勢を変える。立って少し動くことが望ましい」。
さらに、座りすぎ対策としてのコーヒーブレイクの有効性についても触れ、「身体面では、コーヒーを淹れるために動くことで、座りすぎを改善できるとともに、コーヒーによる健康への効果も期待できる。精神面では、休息をとることによるリフレッシュや創造性の向上、ストレス軽減、同僚や仲間とのコミュニケーションの機会増加につながる」と話した。
ネスレ日本執行役員の嘉納未來コーポレートアフェアーズ統括部長は、「座りすぎ問題」の解決に向けて、会社として取り組む理由を次のように述べる。「きっかけは、コロナ禍で在宅勤務が続く中、私たち社員の健康面の課題として“座りすぎ”が浮かび上がってきたことだ。さらに、社員への調査によって、コーヒーを飲んで休憩する機会の有無と“座りすぎ”の関係もわかってきた」。
「厚生労働省も日本人の“座りすぎ”を課題としており、健康問題の“新しい現実”が見えてきた。そこで、私たちの事業活動であるコーヒーをうまく取り入れた“コーヒーブレイク”により、“座りすぎ問題”の解決に向けて、私たちから何か情報発信できないかと考えたことが取り組みの背景にある。このような話題提供をすることで社会に少しでも貢献したい」。
ネスレ日本は、コーヒーやチョコレート製品などを展開する企業であり、“座りすぎ”と直接は関係ないよう見える。だが、健康問題の一つである“座りすぎ問題”と、その中断と休憩(ブレイク)の重要性に着目し、コーヒーの新たな可能性として「コーヒーブレイク」の価値を伝えていく考えだ。今後は他企業や団体とも連携し、“ブレイク推進企業”になることを目指すとしている。