キッコーマンG、新本社工場食品棟が竣工、国内製造拠点を再構築、スマート化・自動化で生産効率アップ、しょうゆ関連調味料の生産強化
キッコーマングループが国内調味料事業の生産体制再構築としょうゆ関連調味料の生産体制強化を目的に、千葉県野田市で建設していた、グループ会社で調味料製造のキッコーマンフードテック(KFT)・新本社工場食品棟(鉄骨2階建て、延床面積8,161平方メートル)がこのほど完成し、稼働を開始した。
新KFT本社工場食品棟は中根作業場において、既存の焼肉のたれ・ソース充填棟の至近にユーティリティ設備と共に新設された。同市内の現KFT本社工場からの設備移転・集約とあわせ、グループ会社の日本デルモンテ群馬工場(沼田市)から焼肉のたれ製造を移管し、国内調味料製造拠点の再構築を図ると共に、スマート化・自動化により生産効率の3倍アップを目指している。主な製造品目は「わが家は焼肉屋さん」シリーズなど肉用調味料や、つゆ類などのしょうゆ関連調味料で、200~300アイテムを計画している。
同グループの目指す新工場のスマート化とは「高品質・多品種の製品の確実な生産」、「設備投資に見合う省人化・稼働率向上」、「データに基づく精度の高い計画と生産のスピードアップ」を目標とし、品質・コスト・納期においてレベルアップを図るもの。現工場では多くの作業を人手で行っており、作業効率化の面で限界に達していた。
スマート化を図る上で核となるのは生産計画・製造作業の自動化・制御ソフトからなる新システムの導入であり、これにより精度の高い計画立案と最大稼働率の両立、操作ミス、学習時間の低減が可能になるとしている。さらにQRコードによる原料管理システムも導入、誤投入の防止によりミスの無い確実な生産が可能になるという。
自動化では、作業時間の短縮に寄与する自動搬送機(AGV)、効率的な原料・資材の搬入・搬出を可能とする自動倉庫などを新たに導入した。環境面では、2030年度に対2018年度比で30%のCO2削減につなげる。
5月21日に行われた新工場の竣工式では、茂木友三郎取締役名誉会長があいさつで、「新工場の環境対応では、水を循環使用することで排水を削減し、日々の気候条件に応じて設備を自動的に制御することで省エネルギーにつなげている。将来的には太陽光発電を導入し、一層のエネルギー削減に取り組みたい。キッコーマングループは今後も、環境改善に関わる先進的な技術を積極的に採用し、環境と調和のとれた憩いのある社会の実現に貢献したいと考えている。また、最新の設備とIT技術を最大限に活用することで、より高品質で安心・安全な製品を皆様にお届けしたい」と述べた。
来ひんあいさつでは、熊谷俊人千葉県知事は「千葉県を代表する企業のキッコーマンが創業の地である野田市において、新たな飛躍を期して設備投資が行われたことは大変うれしく思う」と述べた。続いて、鈴木有野田市長は、「今回の新工場は、新技術・設備の導入によるスマート化を進められ、生産性を約3倍に高められるとうかがっている。キッコーマングループの事業基盤はより強固なものになると確信している」と述べた。
最後に、同グループ経営陣、来ひん、施行関係者がそろって鏡開きを行った。
〈大豆油糧日報2024年5月24日付〉