「Vinexpo Asia」6年ぶりに香港開催、中華圏中心に1万4,000人が来場
世界最大規模のワイン見本市を展開するVINEXPOSIUMは5月28~30日、「Vinexpo Asia 2024」を香港コンベンション&エキシビション・センターで開催した。
35カ国から生産者1,032者が出展。会期中の来場者数は60カ国から1万4,203名と、2023年のシンガポールを大きく上回り、盛況を極めた。
Vinexpo Asiaは1998年、香港で初開催。以降、香港で隔年開催してきたが、コロナ禍での一時中断を経て、2023年はシンガポールで初開催。香港での開催は6年ぶりとなる。
開会式には、同社CEOロドルフ・ラメイス氏をはじめ、駐中国フランス大使ベルトラン・ロルソラリ氏、香港特別行政区商務経済発展局局長代理 バーナード・チャン氏、香港政府観光局エグゼクティブ・ディレクター デーン・チェン氏らが登壇。また、展示会に出展した生産国の大使や領事19名のほか、ワイン生産者協会などが出席。賑やかな中国獅子舞が式を盛り上げた。
ラメイス氏は冒頭、「パンデミック後、香港でまた再開できることを心から嬉しく思う。ワイン業界を取り巻く環境が、不安定な政治・経済状況や地政学的脅威、生産・消費量の減少など、困難な状況にある中、香港での再開は希望の証だ。アジア、特に中国は、ワイン&スピリッツ業界にとって重要な市場であり、コロナ終息後、経済は急速に回復。市場もダイナミックな成長が見込まれる。香港での再開は、中国市場と再び繋がるための大きな一歩になるだろう。Vinexpoは、世界の生産者やブランドのショーケースとして新たなビジネスチャンスやネットワーキング構築の機会を提供。さらに、50以上のカンファレンスやマスタークラスを実施するなど、単なる展示会に留まらない革新的な存在であり続ける。本展示会で業界のさらなる発展に貢献すると共に、出展者・来場者すべてのビジネスにおける成功を確信している」とあいさつした。
なお、2023年のシンガポール開催では来場者の8割が東南アジア諸国からだったが、今回は8割が中国本土、香港、台湾などの中国圏。IWSRによると、中国におけるワインと蒸留酒の消費は、2027年までに金額ベースで19%の成長が見込まれる。一方で東南アジア諸国では若年層を中心にワインへの関心および需要が拡大していることから、ラメイス氏は、香港とシンガポール2都市で開催する優位性を強調した。
〈ワイントレードのハブ香港から、今後の成長見込まれる中国とリコネクト〉
フランス大使ロルソラリ氏は、「フランスは中国市場最大のワイン供給国だ。香港は中国とフランスを結ぶ重要な貿易ハブであり、本展示会も出展者の4割をフランスが占める。2024年は中仏国交樹立60周年であると共に、仏中文化観光年としてフランスのさまざまな文化を伝えるイベントを企画。ブルゴーニュの地理的表示も2つ認められ、中国がOIVへの加盟を申請するなど、ワイン業界にとって素晴らしい年になることは間違いない。ワインが両国間の懸け橋となることを確信している」とあいさつした。
また、チャン氏は、「香港はアジアの国際トレード中心地。2008年にワイン関税・酒税を撤廃してからは、ワイン&スピリッツトレードのハブとしての地位を確立した。2023年に香港は、約75億香港ドル(約1,500億円)のワインを輸入し、中国やマカオ、シンガポールへ約29億香港ドル(約580億円)を再輸出。中国ワインの存在感も増しており、2023年の輸入金額は84%増。輸出は130%もの大幅増となった」と話した。
今回の最大出展国はフランスで、ビジネス・フランスブースには展示会最大規模の131者が出展。次いで、イタリア、オーストラリア、スペイン、US、チリの順だった。
〈酒類飲料日報2024年6月3日付〉