日本マッケイン・フーズ、売上は2ケタ増に、付加価値やバリエーションの提案へ
日本マッケイン・フーズではコロナ以前の販売水準を上回ったという。経時劣化に強い商品などが支持を得たようだ。今後はポテト以外の商品ラインナップも充実させ、更なる売上増を狙う。マーケティング部マーケティングマネージャーの安念剛氏に聞いた。(取材は6月27日に実施)
――市場の推移と、貴社の販売状況は。
統計を見ている限り、冷凍ポテトの市場は全体的に拡大しており、当社の販売量や売上も伸長している。市場環境としては成長軌道にあると思う。
当社は会計年度が7~6月。なので、今季がちょうど終了するタイミングだ。前期と比較した時の販売数量は2ケタ増、売上も2ケタ増となっている。コロナ以前の水準を上回る推移となった。
要因として、コロナでダメージを受けた外食産業の復調が続いていることが大きい。さらに、外国人の観光客の増加もプラスとして働いていて、業務用市場の売上が伸びていると感じる。
当社は基本的に外食店向けのビジネスが多く、コロナからの回復に従って我々の業績も伸長している。当社の売上の半数以上を占めるファストフード業態は好調で、ファミレス業態もかなり回復してきた。一方で居酒屋は、コロナ禍に店舗が大きく減ってしまい、コロナ禍以前の水準にはまだ戻っていないと感じる。しかし、今残っている店舗は調子が良いと聞いている。
2024年から25年にかけては一般の飲食店全般を伸ばしたいと思っている。インバウンドの拡大もあり、さらに伸びていくのでは。
――注力した取り組みは。
現在は、経時劣化に強い「シュアクリスプ」シリーズの提案に力を入れている。フライドポテトの大半を占めるのが、細長い「シューストリング」という種類で、これは圧倒的に好まれている形状だ。中でもいわゆるプレーンの、元から味や衣がついていない昔ながらのフライドポテトの支持が厚い。
提案に力を注いでいる「シュアクリスプ」は、ポテトに少しコーティングをつけて食感が長く続くようにしている。コロナ禍にテイクアウトやデリバリーの需要が高まり、今も順調な推移を見せている。この商品は、テイクアウトの際にポテトの食感が悪くなってしまうという不満から生まれた商品で、テイクアウトで時間が経っても食感が持続するようになっている。塩味が元々ついているため、揚げたら食べられる。塩味だけでなく、さまざまなフレーバーをつけているものもあり、ガーリックやオニオン、韓国で人気のケイジャンといったフレーバーも人気を集めている。
他にも、くし形カットのポテトの表面にV字のカットを入れたことで、ディップソースが絡みやすくなっている「クリスパーズ」も訴求を強めている。コーティングをしているのでしっかりとした食感もある。
味や形など、変わり種のポテトを使用することで、付加価値の高いメニューが提案できることを提案している。今は通常タイプの支持が大きいものの、「シュアクリスプ」や「クリスパーズ」の人気も高まっており、飲食店での採用が増えている。普通のシューストリング以外の製品を試そうという店も増えつつある。
――認知を高めるための取り組みは。
基本的には地道な営業活動を進めていく。それ以外では、「食べログ」での広告や飲食店と手とのコラボレーションなども取り組んでいく。
――生産面での取り組みは。
世界的にポテトの需要は伸び続けている。日本は北米からの輸入が中心でだが、中国で工場の稼働をスタートしており、2025年頃には中国で生産した商品の提供も検討している。日本の市場は北米産のポテトが好まれる環境だが、価格競争も激しくなっているほか、生産キャパシティの問題もあるのでヨーロッパ産や中国産なども少し取り入れながら多様なニーズに応えていく必要があると感じている。
――今後については。
先ほど話した通り、従来型のフライドポテトではない、新しい商品を提案していく。ポテト以外ではチーズスティックなどのチーズ製品も採用が進んでおり、ポテトにプラス1品という形で提案していく。現在、チーズ製品は1品しかないが、今後商品を追加したいと思う。来年の早い段階で追加できればと思う。
円安やインフレなど、不安定な市況は続くだろう。しかし、外食で少し贅沢を楽しみたいという需要は今後も伸びていくと思う。どういう経済状況になろうと食の市場は非常に強いと考えており、
フライドポテトを嫌いと言う人は少ない。付加価値やバリエーションを出していくことで今以上にさまざまな価値を提供できる余地がある。多様なニーズに応えられるよう、製品ラインナップを拡充したい。
〈冷食日報2024年8月6日付〉