明星食品の秋冬新商品、「五重塔戦略」で消費の5層に対応強化、「青春という名のラーメン」昭和→令和版へ“進化”、レトロ消費狙う

豊留昭浩社長と、木所敬雄執行役員マーケティング本部長
豊留昭浩社長と、木所敬雄執行役員マーケティング本部長

明星食品(株)(豊留昭浩社長)はこのほど、「2024年秋冬新商品発表会」を開催した。同社は昨年秋から「明星 五重塔戦略」を掲げて5層の消費志向(高級品~超低価格品志向)に対応した商品投入を進めており、秋冬もこ

の戦略を強化する。「レトロ消費」をキーワードに「明星 青春という名のラーメン」(昭和59年発売)を令和版に“進化”させるなど、新規ユーザー獲得に向けた施策も展開していく。発表会の概要は以下の通り。

【豊留社長】

市場は食数・金額とも回復基調(一社)日本即席食品工業協会によると、23年度(23年4月~24年3月)の即席めん総需要は食数ベースで57億5,000万食(前年度比▲4.0%)、金額ベースで7,466億300万円(+4.6%)となった。2年連続の価格改定や猛暑など厳しい環境下での数字なので、業界としては堅調な推移だったと考えている。24年4~6月の食数は前年比100%を超えており、食数・金額ともに回復基調で推移している。

明星食品売上高は24か月連続プラス

当社は1回目の価格改定(22年6月)の後、「全麺改良」を掲げて全商品をグレードアップした。それ以降、売上高は前年比プラスを維持している。2回目の価格改定(23年6月)も「五重塔戦略」で乗り切り、売上高は24か月連続で前年越えを達成した(22年8月~24年7月)。8月は暑さとの勝負になるが、9月以降は今回発表する新商品も用意している。前年超えを今後も継続していきたい。

“明星らしさ”磨き差別化図る

当社の経営方針の1つは、ブランドのブラッシュアップの継続だ。ユーザーの世代はどんどん変わっていくので、商品も変えていく必要がある。2点目がオリジナリティの強化。明星食品らしさ、ブランドらしさを出さなければ差別化を図れない。3点目がCSV経営のさらなる推進だ。引き続き、スローガンの「おいしさ、キラリ☆」に、健康と地域共創、環境への取り組みを加えた「からだ、キラリ☆ 地球、キラリ☆」を意識して活動していく。

「チャルメラ」中心に好調

今最も好調なブランドが「チャルメラ」だ。「ちいかわ」の起用がユーザー層の若返りにつながっており、ミニカップの「明星 チャルメラ ちいかわラーメン しょうゆ味」も好評だ。「一平ちゃん」は関西エリアをターゲットにした「関西風お好み焼ソース味」が躍進。また、「明星 ぶぶか油そば」が品質の強化後、若年層を中心にSNSで話題となっており、高価格帯ながら販売を拡大している。

秋冬は「レトロ消費」先取り

来年の「昭和100年」を見据え、当社はこの秋冬から「レトロ消費」を先取りする。今回は、斉藤由貴さんのテレビCMが印象的だった「青春という名のラーメン」を令和に蘇らせる(発売日は9月23日)。単なるリバイバルや復刻ではなく、戻し時間1分の麺・具材など、中身は40年間の明星の進化を表現した全く新しいものだ。当時に負けないようなCMも作りたい。

【木所敬雄執行役員マーケティング本部長】

五重塔戦略強化×次世代ユーザー獲得へ

24年度のマーケティング戦略の骨子は、「明星 五重塔戦略」の強化と次世代ユーザーの獲得だ。24年度下期以降も、円安による物価上昇もあり実質所得の改善には時間を要する見通しだ。消費者の生活防衛意識は当面続くだろう。一方、厳しい家計をやりくりする中でも食の“プチ贅沢”ニーズは継続すると見ている。そうした中、明星らしい付加価値商品で「五重塔戦略」をさらに強く推し進める必要がある。

次世代ユーザーの獲得に向けては、これまで掲げてきたマーケティングのキーワード「α世代ファミリー(12歳以下の子どもとその親世代)」「推し活消費」「消齢化(年代による趣味・嗜好の差が縮小すること)」に加えて、「タイパ消費」「レトロ消費」「応援消費」に対応した商品を投入していく。

「青春という名のラーメン」主軸へ育成

中でもイチ押しの新商品が「青春という名のラーメン」。縦型レギュラータイプはカップ麺市場の3分の1を占める最大カテゴリーだ。この商品を明星の縦型ブランドの主軸として、また(「チャルメラ」「一平ちゃん」などに次ぐ)第6のブランドへ育成していきたい。年間定番商品として発売し、テレビCMも放映するのでご期待いただきたい。

「明星 青春という名のラーメン 誘惑でかタマゴ チャンポン味」
「明星 青春という名のラーメン 誘惑でかタマゴ チャンポン味」

〈米麦日報2024年8月8日付〉

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発行:
昭和34年(1959年)3月
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