創業2年で250店「鰻の成瀬」11月には300店に、消費者とFCオーナーから支持集め急拡大、今後は新業態に挑戦、山本社長「“ウナギの人”の印象を変えたい」
「鰻の成瀬(うなぎのなるせ)」は、2022年9月に1号店をオープンし、2024年8月末時点で250店舗と、急拡大しているうなぎ専門店だ。近年うなぎの価格が高騰しているなか、本格的な味わいの「うな重」が並1,600円(税込)からと気軽に楽しめることで支持を集めている。加えて、FCオーナーが着実に利益を生む仕組みも拡大要因の一つとされる。
直営店は10店舗のみで、ほかはすべてFC加盟店。1人のオーナーが4~5店舗の多店舗展開を行うことにより、着実に利益を生む仕組みを構築している。口コミでオーナー希望者が集まることから、加盟店募集の広告は打っておらず、その分、店舗集客・プロモーションに注力している。
「鰻の成瀬」を展開しているのは、フランチャイズ本部や加盟店への支援を行うフランチャイズビジネスインキュベーション株式会社。同社の山本昌弘社長は、「海外出店も進め、400店舗展開を目指している」と話す。また、飲食店以外の新業態開発にも取り組んでいる。
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〈「土用の丑の日」1日の売上高は1.7億円、海外展開も〉
「鰻の成瀬」のコンセプトは“うまい鰻を腹いっぱい!”。うなぎはさばかれた状態で仕入れ、焼きも調理器が行うなど、オペレーションをシステム化することで、提供時間と人件費を抑えた。看板メニュー「うな重」の価格は、「並」1,600円~、「上」1,900円~、「特上」3,400円~(各税込)。「並」は海外養殖のアメリカ種、「上」は海外養殖のニホンウナギ、「特上」は国産養殖ウナギを使用している。
うなぎの焼き方は地域によって異なり、同店ではふっくらと蒸し上げる関東風の調理方法を採用。ただ、しっかりと焼き目をつけることで関西風のカリッとした香ばしさも楽しめるという。甘めのタレは、割烹料理に精通した職人が監修した。
山本社長によれば、今年の「土用の丑の日(7月24日)」1日の売上高は、全店舗合計で1.7億円。7月全体では同16億円だったという。
出店に関しても勢いは止まらず、11月頃には300店舗を突破する見込み。また、海外展開にも動き出した。6月に海外1号店を香港・銅鑼湾に出店しており、9月以降には台湾(台北)進出を予定している。
〈新業態は「生ドーナツ」とサロン業態「よもぎ蒸し」〉
その一方で、新業態の開発も進めている。9月以降に、生ドーナツ専門店と、サロン業態のよもぎ蒸し専門店をオープンする。よもぎ蒸しとは、よもぎを煎じた蒸気を体中に浴びるもので、スチームサウナに近い。
もともと飲食店以外の複数の業界で、FC加盟店として運営してきた経歴を持つ山本社長。フランチャイズビジネスインキュベーションでも現在、「ドライヘッドスパ専門店 癒し~ぷ」を、加盟店として運営しており、サロン事業は今回が初めてではない。
山本社長は、「今の“鰻の人”という印象を変えていきたいですし、社会課題の解決にも取り組みたい」と話す。FC事業のほかにも、故郷である滋賀県高島市では、中学生のハンドボール大会を立ち上げるなど、地域活性化事業にも取り組んでいる。
急拡大中の「鰻の成瀬」の今後や、飲食業にとどまらない新業態の開発など、これからの展開に注目が集まりそうだ。