「壱角家」「山下本気うどん」運営会社のガーデン、新規上場
「壱角家」や「山下本気うどん」などの飲食ブランドを展開しているガーデンは11月22日、東証スタンダード市場に新規上場したと発表した。ラーメンやうどんは利益率も高く、海外でも人気が高いため、将来的には海外での店舗出店も視野に事業を進めるという。同日行われた会見で、川島賢社長は「影響力を持つには業界でトップになること。今の利益率を維持しながら株主価値を最大化したい」と語った。
同社は「壱角家」や「山下本気うどん」などの飲食ブランドを展開しているほか、カラオケ事業、不動産事業などのМ&Aを繰り返し行い、民事再生案件を含め12社以上の企業再生を実現してきたという。また、不動産事業とのシナジーを活用してフードコートや駅近物件などへの出店を進めてきた。売上構成比は「壱角家」(124店舗)で60.2%、「山下本気うどん」(17店舗)で13.7%を占めている。
決算短信によると、2023年3月~24年2月までの売上高は153億1,100万円。24年3~8月までの実績は、売上高が153億1,100万円、営業利益は15億1,600万円、経常利益は14億4,100万円、純利益は10億6,500万円となっている。
24年3月~25年2月までの予想については、売上高が167億1,000万円、営業利益は18億4,500万円、経常利益は17億1,600万円、純利益は11億9,800万円を見込む。
〈今後の出店は直営中心、年間で最大15店舗ほど〉
決算会見の質疑応答の中で、川島社長は事業概況などを説明した。概要は次の通り。
――会社の特徴は。
事業再生が得意で、利益を出せる構造に改善することを進めてきた。そもそも当社はリーマンショックやコロナ禍のあおりなどを受けて、会社がつぶれるんじゃないかという経験を幾度もしてきた。その中で、様々な失敗事例を見て、自社の事業も再生させて今日の上場に至れたことは、多くの方々のおかげでもあると思う。
外食産業は立地が最も重要だと考えている。不動産事業も取り組んでいることで、駅前の一等地でも店舗を確保できており、そこに良いブランドを出店させることで利益を出せる土台作りを進めてきた。それにより、外食産業の中では高い利益率になっていると思う。
――M&Aの今後の進め方は。
M&Aに関しては、赤字の企業を黒字化だけでなく、黒字を何倍にもすることは再生だと思う。赤字だからという形でなく、すぐに良くなるという案件を探していく。将来性や展開性があるかを探りながら取り組みたい。
――今後の出店については。
これから利益率を上げていくので、無理な出店はせず、利益率と額が残る出店しか行わない。そのため、年間10~15店舗ほどだけを出す。来年もそれは変えない。焦らず物件を探り、今以上の利益の率と額を積み上げるなどで、将来的な成長を図れると考えている。
――FC展開については。
FCについてはそこまで力を入れていない。海外は土地勘ないのでFC化をして進める。店舗を出店する際は、直営で利益の出るところで行う。FCの拡大よりも、直営で利益が出るか、地方でも新規店舗を出店予定なのでそこで確認する。
――人手不足への対応は。
ブランドによって状況は異なるが、「タイミー」の活用などで募集を進めている。もう一度働いてくれる方も多くいる中、声をかけて専属のアルバイトや社員として来てくれた方もいる。
当社で働いている人の中には大手で働いていた人も多い。外食は労働環境が良くないと言われている中で、労働環境の良さに驚かれる方は多い。賞与も引き上げており、元居た会社から他の方を連れてきてくれることもあった。
〈冷食日報2024年11月26日付〉