上野東照宮で「黒豆奉納式」、2024年は大八車ラッピングカーで黒豆を運搬/フジッコ
フジッコは12月12日、上野東照宮で「黒豆奉納式」を開催した。江戸時代に篠山藩が徳川幕府に丹波黒を献上したという史実を再現したもので、160年ぶりの復活となる2023年に続き2回目の開催となった。奉納式では、同社の福井正一社長、小田垣商店の小田垣昇社長、徳川家19代当主の徳川家広さん、黒豆親善大使である俳優の松平健さんが参列し、新穀丹波黒の煮豆を奉納した。
徳川吉宗は、黒豆の品質向上に貢献した将軍として知られている。江戸時代に篠山藩(兵庫県丹波篠山市)から丹波黒が徳川幕府に献上されていた史実に則り、家康、吉宗、慶喜の3公が祀られる上野東照宮金色殿で開催した。2024年は、丹波篠山市から上野まで大八車(木製の人力荷車)を載せたラッピングカーで黒豆を運んだ。新穀の豊穣を報告するとともに、2025年のさらなる豊作と、黒豆生産者や関係者の無病息災を祈祷した。
〈奉納式を通して、黒豆のおいしさだけでなく健康面や伝統を再訴求〉
福井社長は開催経緯について、近年、「どうする家康」や「青天を衝け」といったNHK大河ドラマで、徳川にスポットが当たることが多かったことに触れ、「徳川について調べてみると、徳川慶喜が黒豆を毎日100粒食べていたらしく、徳川将軍の中で享年76歳と一番の長者だと知った。黒豆が長寿につながる食べ物だと知ってほしい。また正月の際に『まめまめしく働く』といった意味や、黒豆がポリフェノールを含むことなど、おいしさだけでなく健康面や伝統を思い出してほしいと考えた」と話す。
黒豆の需要については、「以前は、ポリフェノールを含むことがテレビで紹介されたことから需要が高かったが、最近は落ちている。黒豆の需要を復活させたくてイベントを実施している側面もある。黒豆が持つ健康面をPRしていきたい」としている。
トークセッションでは、新年の季語「黒豆」を入れた俳句から、松平さんが優秀作品を選び、「黒豆の甘さなつかし祖母の顔」を発表した。都立上野高等学校の文芸部の生徒が詠んだ俳句となっている。
奉納式終了後には、上野東照宮の参拝者を対象に「黒豆のふるまい」、「黒豆つかみゲーム」を境内で実施した。松平さんは「黒豆つかみゲーム」に参加し、時間内に掴めた黒豆31粒と同じ数の「黒豆のふるまい」を参拝者に直接渡した。
また、上野精養軒では2025年2月2日まで、数量限定で奉納式に合わせたオリジナルメニュー「丹波黒黒豆・抹茶ベイクドチーズケーキ」(税込1,000円)を提供している。
〈大豆油糧日報2024年12月17日付〉