【マーガリン業界動向】家庭用はコスパに優れる大容量タイプが伸長
今期ここまでのマーガリンは、日本マーガリン工業会が集計する食用加工油脂生産量(24年1~10月)によると、家庭用は前年比7.2%減となったのに対し、業務用は同1.9%増とわずかに前年を超えた。
家庭用マーガリン市場の上期(4~9月)は、金額ベースで前年を下回って推移していると推定される。
3月末にはJ-オイルミルズが家庭用マーガリン類事業を終了したほか、明治や雪印メグミルクで増量キャンペーンを実施しており、買いだめの動きが見られた。これらを背景に、「4~5月は反動減で落ちた」(メーカー)と話す。ただ、8~9月は「徐々に持ち直している」という。
カテゴリー別では、インテージSRI+によると、プレーンタイプは前年比5%減、ヘルシータイプは同9%減、グルメタイプ(バター風味・バター入り)は同1%減、ケーキ用のみ7%増となった。物量ベースにおいても同程度だ。
本来、ヘルシータイプは指名買いをする消費者が多く、変動が少ないカテゴリーだ。しかし、割高感があるため、節約志向が高まる中では値ごろ感のある商品へスイッチした。
ケーキ用に関しては、こちらも節約志向により手作り需要が高まったことが起因した。バター高騰を受けたマーガリンへのシフトも多少は見られた。容量別では、中容量が支持された昨年から一変し、大容量が伸長したメーカーが複数あった。中容量は1個あたり単価の値ごろ感が評価されていたが、コストパフォーマンスでは大容量品に軍配が上がるためだ。消費者の節約志向がここでも垣間見える結果となった。
J-オイルミルズの「ラーマ」の市場シェアは約10%と推計されている。市場での需要を喚起するため、各社、増量キャンペーンやウェブCMなどを仕掛けていく。
ユニークな施策は、明治による動画ストリーミングプラットフォーム「ABEMA」での新番組の放送だ。お笑い芸人3人を起用し、マーガリンを使ったオリジナルのトーストレシピを作るという内容で、12月まで公開している。
〈業務用はカカオ豆高騰の対応製品が多数、代替品や風味補強製品の提案が行われる〉
業務用加工油脂の動向は、国内人流の増加と、インバウンドの活況を背景に、外食や土産菓子の分野が好調に推移した。また価格改定についても浸透しつつあるようだ。
一方、人件費やエネルギー費、物流費の上昇に加え、円安基調により、コストアップ要因は増加していることから、さらなる値上げを実施・検討しているメーカーが多い。また、ダウンサイジングや買い控えの傾向も続いている。
国産・海外産ともにバターが高騰したが、コンパウンドマーガリンや汎用マーガリンへのシフトはあまり起こらなかったもようだ。
主に不作を要因に、カカオ豆やコーヒー豆が高騰する中、特にカカオ豆の高騰に対応する製品の提案が各社で多く見られた。
例えば、チョコレート風味の添加材や、カカオバター代替脂、ピュアチョコレートのようなクオリティーと訴求するコンパウンドチョコレートなどが挙げられる。
さらに、焙煎風味のマーガリンや、コクのある油脂で、最終製品の風味を補助する提案が行われている。
〈大豆油糧日報2024年12月18日付〉