「JAS0028」取得説明会を開催、廃食用油を市場に適正価格で流通していく/全油連
全国油脂事業協同組合連合会(全油連)は23日、都内で廃食用油に関する唯一の国内規格「JAS0028」を取得するための説明会を、オンラインと併用して開催した。同規格は、廃食用油を原材料とした再生油脂を製造するリサイクル工程管理について規定した日本農林規格(JAS)となる。農水省主幹の企画だが、再生油脂は飼料だけでなく、工業品や燃料など、幅広い用途を対象としている。
登録認証機関である日本食品油脂検査協会は2024年4月から認証活動を開始し、現在2社が認定済みで、2月には3社目の調査を予定している。取得に要する時間は最短3カ月で、認証事業者となれば、JASマークをホームページや名刺などに掲載し、BtoB取引でアピールが可能になる。全油連の塩見正人事務局長は、「JAS製品化された廃食用油を市場に適正価格で流通していきたい」と力を込める。
セミナーは、日本食品油脂検査協会の樋渡麻奈品質保証室マネージャーが講師を務め、規格の概要や申請手続き方法、必要書類や申請の要件となる講習会などについて説明した。
日本食品油脂検査協会は今年で創業70周年となる。「マーガリンなどの食用加工油脂の検査、認証工場の調査、食品の受託検査を主な業務としていたが、2000年代からはHACCPなど食品安全に関わる審査業務や有機認証業務も開始し、業務の幅を広げてきた」という。2023年12月、廃食用油のリサイクル工程管理の農水省登録認証機関として登録した。
同規格は全油連が申出を行い、日本農林規格調査会の審議を経て、農林水産大臣が2023年3月に制定したJASとなる。廃食用油を原料とした再生油脂を製造するリサイクル工程管理について規定しており、処理施設や回収、貯蔵保管の容器、運搬車両などの設備全般から、異物混入防止やトレーサビリティの確保、従事者に対する管理などが記載されている。
新規認証の流れ(図)だが、認証申請は申請書などを作成して提出する。申請書類については、ひな形が用意されており、「不明点は相談を受け付ける」とサポートも行う。
書類調査は調査員が行い、必要な場合は修正される。現地調査は認証申請から約1カ月程度で実施される。調査料金(税別)は初回の認証申請手数料20万円と調査手数料20万円の40万円となる。また、法律で実施が定められている年1回の定期調査料金(同)が20万円となる。
現地調査は北海道から沖縄まで対応が可能だという。交通費と宿泊費は実費となり、別途、日当が必要なケースもある。
認証を得るには、「廃食用油のリサイクル工程についての取扱い業者の技術的基準」に定められた「取扱管理担当者」と、その中から選任する「取扱管理責任者」が必要となる。後者になるには、認証機関の指定する講習会を終了している必要がある。講習の受講料は1万5,000円税別で、YouTubeによる講義動画視聴とテスト、Zoomによる回答解説がその内容だ。随時開催している。
なお、JASマークの使用について、料金は発生しない。
〈全油連の30社弱が単独申請できる要件持つ、所属していない事業者にも有用性を説く〉
全油連の塩見事務局長は同認証について、「全油連に所属する約70社すべてが廃食用油の収集・運搬を行っており、処理業も行っている30社弱が『JAS0028』を単独申請できる要件を持っている。数多くの事業者に取得してもらい、JAS製品化された廃食用油を市場に適正価格で流通していきたい」と話す。
目標について、「取得事業者が数多くいる状況を作りたい。初年度で10社弱を目指す。全油連に所属していない事業者にもJAS規格の有用性を説いていき、100社、200社と増えていけば」と展望を語った。
〈大豆油量日報 1月24日付〉